スーパー戦隊シリーズ『秘密戦隊ゴレンジャー』感想 その4

第4回目となる今回は第16話~第20話まで。

言わば日輪仮面編ですね。第15話より登場した日輪仮面が第20話にて退場。

あまりに早すぎるんですが、夏の暑さにかこつけて登場した太陽キャラクターだったと思うことにします。

 

前回の記事はこちら。

 

curepretottoko.hatenablog.jp

 

 

 

 

 

 

 

第16話「白い怪奇! 鏡の中の目」

白い怪奇!鏡の中の目

 

五ヶ所の原子力発電所を爆破しようぜ!という恐ろしい計画の立案から始まる回。3.11の後だとこいつらの言っていることの恐ろしさがよく分かる。今回の怪人は箱に目がついているだけという非常にシンプルなデザインの鏡仮面。一応両面開きで鏡が出てくるんですけど、その鏡も目がついているだけという。ある意味インパクトはあるけど、他の怪人に比べたらとても地味。ただ今回すごいのが、幹部の日輪仮面との共同必殺技「サンミラー火炎」があるんですよね。でもってこの「鏡」というモチーフが1話を通してすごく効果的に使われていて。ここまで怪人のモチーフからどんどん飛躍してたりあまり物語に嚙み合ってなかったりっていう回が多かった中で、この第16話はすごくまとまりのある回だなあと思いました。

 

先週の虹仮面の反省を活かして、今回日輪はゴレンジャー分断作戦を提案。5人揃って強いなら5人揃わせなければいいというシンプルな作戦。ゴレンジャーをきちんと強敵扱いしている辺り、幹部っぽくていいですね。そしてその標的となったのがモモレンジャーことペギー松山。モモの正体が黒十字軍に知られてるのはちょっと大丈夫なのかよと思うのだけれど、そういうツッコミを抑えつけちゃうほどに鏡仮面の作戦が怖い。鏡やサングラスなど、写るものを通して黒い目がじっと見てくるなんて演出、子ども番組でやらないでほしい。これきっと小さい頃に観てたらトラウマだったろうなあ。しかも変な笑い声までするんですよ。ここまでで、強いかどうかは置いといて、鏡仮面がとにかく嫌なやつだなっていうことが分かる。

 

モモが狙われたのもあって、この女性一人を執拗に追い回す怪人という嫌さが、うまく雰囲気を形成してくれています。でもってモモの前にしか目は出てこないので、周りのメンバーが誰も信じてくれないというのも結構ホラー。調べたら8月の初週に放送されたようだったので、納涼回みたいな意味合いもあったのかもしれません。タイトルも「白い怪奇!」って言っちゃってるし。サングラス返してくれる子どもも不気味なんですよね…。別にただの子どもなんだけど。基本的に軍事色が濃厚なゴレンジャーでこんなにガッツリホラー回が観られるなんてという興奮があります。脚本はいつもの上原さんなので、その引き出しの多さに驚く。メインライターが変化球までこなせるのは強い。

 

しかもモモは水中に引きずり込まれてしまう。黒髪の女性、目、水、鏡。平成初期のJホラーでもふんだんに使われ、今でもJホラーの中核を担う要素がバンバン出てくる。マジで中田秀夫監督とかこれを意識してたんじゃないかっていうくらい。そしてようやく鏡仮面が彼らの前に登場。ここまでずっと嫌さだけで頑張ってきたけれど、いざ登場したら速攻でミドメランぶつけられて鏡が割れる。戦闘力はそんなでもないのかもしれません。

 

とはいえモモは戦闘不能にしたので日輪達は作戦を実行。そこに駆けつける新命。新命が一人でゴレンジャーマシン乗ってるの、すごく新鮮ですね。っていうかわざわざ時間をかけてじっくりモモを分断したのに、アオが一人で来ちゃうのかあ。ここはちょっと詰めが甘くて残念です。鏡仮面の必殺技は太陽光線を反射して繰り出すサンミラー火炎。正直光の反射だけな気がするけれど、何かエネルギーが出ているのかもしれない。本来太陽を背にされたら無力なはずだったが、日輪仮面とのタッグによっていつでも撃てる仕様になり死角がなくなる。日輪と鏡を組ませるっていう発想もいいですよね。幹部として日輪を出したから、それと相性が良いのはなんだろうって考えたのかもしれない。

 

鏡を倒したいけれどゴレンジャーストームは5人じゃないと使えない。いやあ、これが使えるんだよなあ。角仮面の時に3人で使ってたんだよなあ。その過去がなければ結構説得力があったんですけどね。マジであの回はなんだったんだ。そんなこんなで発電所が二ヶ所もやられてしまい、次は第3発電所が狙われることに。ちゃんと順番通りに襲ってくれるの優しいですね日輪仮面。第3をやられるとイーグル基地が機能しなくなる~みたいな説明が入りましたが、原発やられた時の被害はそんなもんじゃないことを現代人はよく知っている。一緒に戦おうとするモモに対して、せっかくの休みだゆっくり休養しなさいって優しく労わる海城が素敵でした。無理に止めたりするのではなくて気を遣っている感じが出てましたね。前ゲストに説教した海城、マジでなんだったんだろう。

 

そして戦いの最中でモモが復帰!本当ならここにドラマが欲しかったけれどまあいいです。そして鏡仮面に対してこちらはモモミラー!!!きたー!!!モモミラーの役割が全然分からなかったけれど、確かに鏡でビームを反射させて攻撃してくる怪人に対してこっちも鏡出すのは理に適ってる~!こういうところも含めて本当にまとまりがいいんですよねこの回。そしてモモミラー、なんと決定打にまでになります。その攻撃によって鏡仮面の記憶回路が故障し、なぜか日輪仮面を執拗に攻撃してしまう。お前ら記憶回路なんていうものがあったのか…。そこですかさず放たれたゴレンジャーストームでフィニッシュ。ラストの散らばった鏡についた目、あまりに不気味すぎる。どういう演出なんだよあれは。そして次回に先駆けて登場した黒髪仮面。こいつマジでやばいよ。顔!!!スーパー戦隊に出て良い顔じゃないから!

 

 

第17話「むらさき色の遊園地! 悪魔の墓場」

 

むらさき色の遊園地!悪魔の墓場

 

サムネイルにもいますが前回のラストで強烈なインパクトを残した黒髪仮面が今回のゲスト怪人。髪の毛をモチーフにした怪人だと『仮面ライダーフォーゼ』のコーマ・ゾディアーツなんかで驚いた記憶があるんですが、そこはさすがゴレンジャー。手が早かったです。ただ黒髪以上に顔が怖すぎる。なんだその落ち窪んだ眼窩は。ちょっと出てる歯は。薄い唇は。とにかく子どもたちにトラウマを作ってやろうという意気込みを感じたのですが、ちょっと17話自体は結構取っ散らかった印象のある回で。高久・新井脚本なんですがいつものドラマ性の高さはどこへやら…という感じでした。

 

黒十字軍はZ20という水分を蒸発させる兵器を開発。これによって貯水池などを襲い、人類から食糧や水を奪ってしまおうという作戦。直接人類を絶滅させようとする時もあるのに、少し時間の掛かるタイプの絶滅でもいいんですね。結構気長に待つタイプなのかもしれない。そんな黒髪仮面なんですが、大体の怪人が持っている杖(というか大体の怪人が杖持ってるの面白いですね。殺陣の関係とかなのかな)が櫛になっていて、その歯を飛ばして攻撃することができる仕様。それとどこからか黒髪を投げてきたりという技を披露してきます。黒髪こそ頭から伸ばして相手を絡めとったりしてきそうだったけど、それはなし。早速ミドメランで櫛の歯が破壊されるので戦闘力は多分そんなでもない。顔のインパクトにステータスを全振りしてる感じです。後、喋ってる時に前髪が邪魔になってどけてるの、本当の人間っぽくてよかったです。

 

ゴレンジャーを倒すには頭を使わなくてはなあ…という感じで日輪仮面のことも舐めまくり。めちゃくちゃ強気だなこいつ…。で、そこで考えた作戦というのがイーグルを騙すというもの。黒十字軍には懲り懲りだ!と命からがら逃げてきた風を装ったゾルダーを用意してゴレンジャー達を遊園地へ誘き出し、始末しようという計画。でもここで出てくるのが007こと陽子なんですよね。高久・新井脚本、陽子のこと好きすぎるだろ。待ち合わせ場所をお化け屋敷にしてくるのはどう考えても怪しいし、案の定お化けに紛れて黒髪仮面が登場。本当にお化け屋敷が似合うなこいつ。遊園地でモモとミドと戦うことになるんですが、ジェットコースターのレールの上で戦うのすごいですよね。昭和特撮でたまにあるけど、結構テンションが上がります。そこで披露される「黒髪総入れ歯」なる技。黒髪総入れ歯???さすがに何でもありすぎるだろ。

 

無力な007は遅い乗り物に乗ったり観覧車に逃げ込んだりして何とか凌いでいました。でも観覧車はやばいって。そこに明日香達も合流してやり過ごそうとするものの、なんと黒髪仮面は明日香に髪の毛を巻き付けていた!それにより居場所がバレ、黒髪シュートという謎技によってゴンドラから出られなくなってしまう。マジで黒髪って言えばいいと思ってるだろこいつ…。髪の毛は電波を妨害するため、通信することもできない。何なら怪しいガスまで出る。海城達も手詰まりとなり、先に貯水池へ向かうことに。絶体絶命と思いきや、ミドに変身したら普通にドアを壊せた。なら最初からやりなよ…。

 

そしてバトルが始まり、分が悪くなったら部下を置き去りにする日輪仮面という貴重なシーンが見られる。多分黒髪仮面のこと嫌いなんだろうなこいつ。いつものごとく必殺技のゴレンジャーストームが放たれるわけですが、それをまさかの櫛の歯で破壊!これは強い…!いつも間抜けにも頭に喰らってしまう怪人が多い中でこれはナイスだと思いきや、ミドに全ての櫛の歯を破壊されてしまう。しかも櫛の歯が全部無くなった時が黒髪仮面の寿命らしい。なんだそれ…と思うけど倒せたのでめでたしめでたし。今回高久・新井脚本で続いていたドラマ性も弱い上に、ラストのほのぼのエンディングもなくてちょっと残念。マジで顔のインパクトだけでした。

 

 

 

第18話「戦慄の黒十字軍! (秘)作戦で攻撃せよ」

戦慄の黒十字軍!(秘)作戦で攻撃せよ

 

この第18話は初の平山公夫脚本。初のと言っても全84話中2回しかないようなので、ある意味貴重かもしれません。調べたところその後も何度かスーパー戦隊の脚本を書かれている方らしい。8月放送回の16話からホラー風味の回が続いているわけですが、この第18話は子どもを利用するという残忍さが恐怖の演出に一役買っていました。

 

いきなり知らない子ども達がたくさん出てくるシーンからスタート。どうやらボーイスカウトでキャンプをしているらしいんですが、そこに一つ目仮面が現れて次々と子供たちを拉致。というかこいつも髪の毛あるじゃん!黒髪仮面もうお役御免でしょこれは。というか一つ目ももちろんインパクト強いんですが、口も大概なんですよね。でかすぎる。しかも肌の青さもだいぶ嫌で、ちょっと鱗みたいになってるのも人外っぽさが強くてすごい。黒髪仮面は目の細さでだいぶ怖かったですが、こいつは目がデカくて怖い。そしてこの一つ目仮面の目的は子供達を洗脳して黒十字予備軍を作ること。一般人を利用した怪人は前にもいましたが(三日月仮面とかね…)子どもに絞るのが嫌らしいですね。

 

そしてゴレンジャーの前に現れた黒十字予備軍。デザインがいくらなんでも一つ目過ぎるのは置いておいて、ゴレンジャーが手出しできないというのが地味に痛い。でもホイッホイッっていう変な掛け声はなんなんだ。子供達に変なものを教えるな。小さいとはいえ槍を投げてくるのでなかなか手こずりそう…。と思いきや、日輪仮面のアシストもあってアカレンジャーが倒されてしまう。アカが倒されるの妙なリアリティがあるんですよね。緊張感が段違いというか。アカとアオは強いというイメージがここまでで大分根付いています。

 

一方スポーツセンターに向かった明日香が目撃したのは、豹変した大ちゃんとペギーの姿。しかし洗脳されたように見せる芝居で、その目的は特に明かされないんですが多分子供達を救うタイミングを見計らっていたのかなあと思う。というか子供は装置なのになんで大人は飲み物で洗脳できるんだよ。

 

一つ目仮面の基地はまさかの離れ小島。基地に潜入する流れはもう何度かありましたけど、ロケーションが違うだけで結構見栄えが変わりますね。スケールがちゃんと出ています。ナレーションによると、一つ目仮面の神経を断ち切れば、洗脳を解くことができるらしい。しかしそれを見ていることしかできない大ちゃん達。結構チャンスはあると思うのですが、慎重派らしいです。まあ子供達に何かあってからでは遅いからいいことかも。

 

少年部隊の奇襲によってイーグルを全滅させようと企む一つ目仮面。いやそんなことしなくてもイーグル基地は割とあっさり壊滅できるんですよ…。他の回も観てくれ…とは言えないのですが、すごく真面目なんだろうなコイツっていうのがよく分かりました。まあ確かにゴレンジャーすらたじろいでしまうんだから隊員はもっとですよね。やっておいて損はない作戦。そんな秘密基地に、アカレンジャーがボートで登場!早速撃たれたと思いきや、まさかの凝った人形。海城は既に泳いで上陸していました。マジか…。そこで大ちゃん達と再会するものの、敵側を装った彼らに驚く。真相を聞かされて大ちゃんをマジ殴りするアカ、面白い。その流れで大ちゃんが頭突きで子供達の居る檻を壊すわけですが、そんな怪人の目の前で大胆な行動を取るなら別に潜入とかしなくてよかったのでは。

 

そしてやたら出番の多い女の子ゲスト、ミドリちゃんに一つ目が究極の選択を迫る。子供達を皆殺しにするか、大ちゃん達の居場所を話すか。ゲストだしまだ子どもなんだからそんな酷なことをしないであげてほしい。結局難を逃れてバトルへ。ゴレンジャーに催眠を掛けようとして一時は優勢に立つものの、いきなりのブルーチェリーで格闘戦に。アオが遅れてやってきてブルーチェリー撃ったら大概のことは片付きますね。その後、子供達を一斉に人質に取って「崖から落とすぞ!」と言うものの、全くたじろがないアオによってまたもやブルーチェリー。本当に万能すぎるよブルーチェリー。

 

ただ三日月仮面のオオカミ作戦の方がインパクトの面では勝っていたかもしれません。子供達を操るのは確かに怖いけれど、やっぱ毛むくじゃらにする方が強い。島での戦いといういつもとロケーションが違うことに救われていた回でした。

 

 

第19話「青い火花! 海に浮かぶスパイ戦線

青い花火!海に浮かぶスパイ戦線

 

今回は全話で唯一の藤川桂介脚本!

ウルトラマン』なんかも書いている脚本家さんなんですが、スーパー戦隊はこの1回限りらしいです。前回と言い、様々な脚本家を迎えて2クール目にして新しい流れを作ろうという意図だったのでしょうか。でもバリエーションが出るのはいいことなので素直に嬉しいです。

今回、ある意味でめちゃくちゃ独特な回というか。スイスのイーグル本部から秘密兵器Xの設計図が盗まれたので、それが黒十字軍に持ってかれないように取り戻そうという話なんですけど。設計図を盗んだミス・サファイアなる人物が物語を動かしていくんですよね。毒牙仮面の時にゲストのドラマが物語を牽引していたこともありますが、5人もレギュラーがいるのにこういう回やるのってやっぱり斬新だなあと改めて。しかもミス・サファイア、同情の余地が一切ない生粋の悪人。悪の組織にこうした情報を売り渡しているという怪しい女。井上脚本だったら絶対新命辺りが恋に落ちてたやつ。

 

そんな彼女が羽田に上陸し、海城と大ちゃんはいきなり接触。すごいな…。というかミス・サファイアが人間だからこちらも強硬手段に出られないという感じが緊張感を増していますね。ゴレンジャー以外にもイーグル隊員はいるんだろうからその人たちに任せればいいのに。そこに現れた剣仮面!かわいい!かわいすぎる!LEGOじゃん!バケツに幼稚園児が顔を描いたみたいなデザイン。黒髪仮面と一つ目仮面からの流れで出てくる奴だとは思えない。黒十字軍のコーディネーター担当が変わったのだろうか。でもナイフを投げてくるのはさすがに怖いですね。只事じゃ済まないんだよ。ミス・サファイア達を追っていたはずのゴレンジャーだったが、実は巧妙な作戦で既に撒かれていた。やっと停まった車に乗っていたのは自爆を覚悟したゾルダー達。「黒十字軍万歳!」は結構インパクトが強かったです。

 

日輪仮面の基地っぽいところが初登場。椅子もないのか…悲しい…。でも黒十字軍のアジトっていつもそうだったかもしれない。総統もずっと腕組んで突っ立ってますもんね。ミス・サファイアに対してめっちゃ丁寧な日輪仮面が面白いです。それで調子に乗り、設計図と引き換えに100億円をキャッシュで要求するミス・サファイア。「半分は小切手にしろ!」って怒鳴る剣仮面が面白すぎる。なんでそこでキレるんだよ。というか黒十字軍、小切手とか出せるんだ。ダミー会社とかたくさん持ってる可能性はありますよね。でもこの一般人に怪人達が言われるがままという構図は新鮮で面白いです。上原脚本とかには出てこない味だなあ。

 

ミス・サファイアはわざと取引の日時をゴレンジャーにも聞かせる。第三勢力の登場はやっぱり盛り上がりますよね。一方ゴレンジャーはミドメランに磁石みたいなのを付けてミス・サファイアの居所を探知する作戦を立案。これそんなに意味が分からなかったです。発信機を普通に取り付ければよいのでは。でも後でバトルになってこの磁石が効いてくるみたいな一面もあったので、そういうギミックだったのかな。

 

取引の現場に現れるゴレンジャー!結局挨拶を交わす間もないままに取引は終わるのですが、ミス・サファイアの目的は正にこれ。偽物を黒十字軍に渡し、ゴレンジャーの介入によって丁寧に確認する隙を与えず100億円だけをかっさらっていく。だからキャッシュで要求だったんですね。でも偽物渡す意味あんまりなくない???設計図くらいならそもそもコピーできそうだしなあ。ただ、実は彼女はヒーローも悪役も嫌いでとにかくお金しか信用しない~みたいな、『ONE PIECE』のナミみたいな考え方の持ち主だったのかもしれない。そう思うと結構ドラマがありますよね。最後、設計図をスカーフに隠していて、哀れにも殺されてしまったことをアカが「金に目が眩んだばっかりに…」と俯いて終わるんですけど、何だか情緒があって好きな終わり方でした。いろいろなことを考えさせてくれる回。一方で剣仮面の印象がほぼない。やっぱり30分番組でゲスト出しちゃうと怪人が割を食ってしまうらしいです。

 

 

第20話「真赤な死闘! 日輪仮面対アカレンジャー

真赤な死闘!日輪仮面対アカレンジャー

 

遂にやってきました。アカレンジャーVS日輪仮面。スーパー戦隊シリーズと言えばレッドと因縁のある幹部怪人。言ってしまえばその元祖ですよねこの回は。別に日輪がアカレンジャー側に対して何かをしたというわけではないけれども、何となくお互いに他を率いる者としてライバル心が芽生えていたのはうっすらと分かっていました。15話で登場して20話で退場というのは非常に名残惜しいですが、その間前線に出たりゲスト怪人と協力したり、舐められたりと。ゴレンジャー初の幹部怪人としてうまく立ち回ってくれていたと思います。結構印象も強い。

 

この第20話はそんな日輪仮面が、基地にある椅子を自分のものだと勘違いするシーンから始まります。19話で椅子ないなって書いたら本当に椅子来てて笑ってしまった。しかしその椅子は新しく召集された鉄人将軍テムジンのためのものらしい。日輪はずっと椅子なかったの、かわいそすぎますね…。テムジンが来てしまえば自分の立場がなくなると考え、3日でゴレンジャーを倒せという総統の無茶な要求を呑む日輪。中間管理職の辛さがにじみ出ています。これまで一か月近く倒せなかったのに3日は無理だろ…。できたらやっているだろうに。

 

そこで日輪が考えたのが、ゴレンジャーを騙す作戦。定期パトロールのルートまでバレている海城。むしろここまで色々知られているならもう日輪はゴレンジャー倒せただろ。わざとゾルダーに手錠をかけさせ、自分を撃たせて橋から落下。殺してくれぇ!と泣き落としにかかる。戦意を失った敵を倒すことはしないという海城。お人好しがすぎるぜ…。でも殺してくれぇ!は絶対違いますよね。今殺されかけてたじゃん。まして死にたくないから逃げてきたって自分で言っちゃったし。詰めが甘すぎる。でも腕を千切るのは良い演出ですね。こいつら人間の感情をちゃんと分かってるのが嫌だなあ。その後も日輪の小芝居は続いていきます。

 

で、海城はその後もずっと日輪の言葉を信じ、教えてもらった基地に海城以外の4人が行くことに。アオは日輪を疑っていたものの、別に用心したりしていたわけではないらしい。なんでだよ。してくれよ。口だけはさすがによくないですね。ということであっさりと捕まる4人。そして襲撃されるイーグル基地。もうイーグル基地なんて無限に生まれますからね。壊されても何も思わなくなってきてしまった。兄弟喧嘩くらいの頻度で基地襲われて全滅してるんだよな。

 

そんなこんなで海城どうするんだよ…という流れに。別に反省するとかではなく、「日輪仮面、許さんぞ!」という形で怒りをぶつけて解決する手法を取りました。あんたの判断ミスで多分イーグル隊員がめちゃくちゃ死んでるというのに…。ここはもう少し心情描写を大切にしてほしかったところ。というか、海城にお人好しのイメージはないのでここはむしろ明日香や大ちゃんがやる方が素直かなあとも思いました。もちろん幹部怪人との決戦という一大イベントをアカにやってほしいというのは分かるけれども。大ちゃんか明日香が日輪を信じ込んだ結果、多くの人が犠牲になって。で大ちゃんか明日香もやられて。その思いを組んだアカが敵を討つみたいなのが好みでしたね個人的には。アカが直接日輪を受け入れてしまうのはちょっとここまでのキャラ描写としては人選ミスな気がしました。でも今思いついたやつ『仮面ライダーカブト』の第3話・第4話だな。あれめちゃくちゃ好きなんですよね加賀美の弟の回。

 

そして始まるアカレンジャーVS日輪仮面。そして縛られている他の4人。今度は十字架ではありませんでした。だけれど柱に爆弾が仕掛けられているのであまり動けない。さすがに4人が捕まるというパターンは初めてなので、演出だけでちょっと緊張感がありますね。「やばい!」というのが伝わってくるというか。ここまでの大ピンチだとなぞなぞの馬鹿馬鹿しい掛け合いですらちょっと泣けてきてしまう。捕まっていても海城を信じて飄々としている4人、とてもいい!そしてアカを倒したと日輪から聞いて全然信じてなさそうな新命、これもいい!

 

そこに現れるアカレンジャー!そしてバリブルーンを操縦するのは江戸川総司令!誰もいなくなると自分も出てくるんですねこの人。いつもの戦闘が始まった後、「俺に任せてくれ」とアカレンジャー。初出武器・ヤリビュートを出して日輪仮面との一騎打ちに臨む。この槍、この前黒十字予備軍が使ってたのを気に入った可能性がありませんか?そしてある程度ダメージを与えたら、やっぱり最後はゴレンジャーストーム。まあ結局ストームですよね…。見事日輪を倒したものの、次は「モンゴルの鬼」とも呼ばれる鉄人将軍テムジンが日本へやって来る…。

 

というわけでスーパー戦隊史上初のレッドVS幹部怪人回。考えてみると皮肉なものですよね。ゴレンジャーが「5人のヒーロー」というのを大々的に打ち出した作品なのに、結局そのリーダーと怪人の一騎打ちが見せ場になってしまう。でもまあ、やっぱり燃えるんだよなあ。ここからしばらくはテムジン編が続くのでまた少しテイストに変化がもたらされるのでしょうか。楽しみ。