スーパー戦隊シリーズ『秘密戦隊ゴレンジャー』感想 その3

第1回と第2回の間は数週間空けたくせに、第2回の翌日には第3回を上げることができてしまう。なぜなら休みだったからです。5話分揃ってゴレンジャーということで一気に書きました。1記事に5話分という決まりを設けたわけではないのだけれど、1回目がそれでキリが良かったのでこのペースで進めていきそうです。あんまり区切りとかもなさそうなので…。

 

こちらが前回のリンク。

curepretottoko.hatenablog.jp

 

それでは、第3回を始めたいと思います。

 

 

 

第11話「みどり色の戦慄! 耳地獄からの脱出」

みどり色の戦慄!耳地獄からの脱出

 

サブタイトル、思わず二度見してしまいました。「耳地獄???」あまりに聞き慣れなさすぎる言葉。耳なのに。該当のものがたくさんあることを〇〇地獄とはいうけど、別に耳地獄って怖くないしな…。地獄耳のことなのかもしれないなってちょっと思いました。分からないですけど。

 

今回は昭和特撮お馴染み!科学者が怪人に狙われる王道パターンです!第2話のサンドビームに続いて2回目でしょうか。マイナスエネルギーの研究を続け反物質爆弾を作れる工藤教授を狙うのは黒十字軍の舟耳仮面。舟耳っていったい何なんだろうと思って調べたら舟耳仮面しかヒットしなかったので全くの謎。舟みたいに大きな耳ということなのかもしれない。当時の世代にしか通用しないネタなのでしょうか。だとしても大して強くなさそうなモチーフを怪人に使うのはすごい。

 

細長い顔の両サイドに大きな金属製っぽい耳がついているという独特の風貌。初登場はトンネルだったけれど、暗闇に出現するにはさすがに怖いビジュアル。というかイーグル、常に誰かや何かの輸送中を狙われているのでもう少し警戒した方がいい。黒十字軍は常に輸送経路を知っている。

舟耳仮面、どのような戦闘スタイルなのかと思ったら耳から長いフィルムのようなものを出して首に巻き付けるという昭和スタイル。耳、全然関係なくて驚きました。せっかく輸送中に襲撃できたのにゴレンジャーが護衛についていたのが良くなかったですね。武闘派じゃないなら頭が良いのかと思いきや、教授のすり替わりに気付かない辺り、そうでもないらしい。戦闘では久々のモモミラーが登場。これ、ただの鏡じゃないんですか???太陽光を反射させて敵の目を眩ませる…といえば聞こえはいいけど手鏡ですよねこれ。

 

アカとモモが戦っている最中、ミドは護衛対象に怪我を負わせてしまい、赤の他人の車に乗せてもらおうとする。案の定その車の運転手は黒十字軍でまんまと教授を誘拐されてしまうんですが、この辺りのミドっぽいミスがすごくいいですね。迂闊すぎて。多分海城や新命はやらないだろうな~というミス。ペギーもやらない。大ちゃんはやるけど、もっとコミカルな感じになるんですよね。ミスをして取り戻さなきゃ!っていう流れになるのは多分ゴレンジャーの中ではミドだけ。その青臭さが好きだなあと改めて思いました。

 

一方の舟耳仮面はゾルダーにバズーカ砲を撃たせてゴレンジャーを攻撃。マジで舟耳ってなんなんだよ。後今更なんですけど、黒十字軍の車にナンバープレートがついてるの結構面白かったです。そこはちゃんとしてるんだ、みたいな。

ここまでは舟耳仮面にあまり特徴がないことを除けばいつものゴレンジャーなんですが、ここからがすごい。まずモモがカブトムシ型発信機を出して舟耳仮面のアジトへと送る。舟耳仮面は「なんだただのカブトムシか」と無視。絶対普通の発信機の方が気付かれないし、舟耳仮面も全然気づかないのがすごい。そこで工藤教授はもう喋る意思がないだろうし記憶抽出装置で記憶を奪ってしまおうということに。しかしそれをやると工藤教授は廃人同然になってしまう。ゴレンジャーが救わねば!という流れ。

 

何かこの作風と一切関係のない要素がどんどん出てくる感じ、『仮面ライダービルド』と同じなんですよね。チップが埋め込まれてるとかサイボーグとか。もっと作品モチーフとの絡め方があっただろうに、「何か聞いたことある」ものに逃げる感じ。ビルドはそれをさも当然という流れで現代劇の中に出してくるので本当に凄かったです。対してゴレンジャーは昭和特撮ということである程度それが中和されてはいるけれど、カブトムシ型発信機からの記憶抽出装置の流れはさすがに強い。そして無事に工藤教授を救出したアカとモモは舟耳仮面の誘導によって地雷地帯へと逃げ込んでしまう。この突然出てくる地雷地帯もすごい。日本にあるわけないだろ。

 

ここで舟耳仮面が本領発揮。なるほど耳がセンサーになっていて索敵能力に長けていたらしい。前線に出るタイプじゃなかったんですねこの怪人…。そりゃあゾルダーにバズーカとか命じるわけだ。どちらかというと怪人をサポートする役回りが適しているような気がしました。そしてアカとの決戦では舟耳地獄攻めなる必殺技を披露。序盤で使った黒い何かを巻き付ける技…からのそれをめっちゃ振り回して敵を翻弄するみたいなことでしょうか。ここでようやく耳地獄の意味が分かってよかったです。しかしアカの初出技・レッドスパークによって電流を流されてしまう。自分の肉体で相手を縛る技はやっぱりリスクも大きい。多分元々は耳の良いだけの怪人だったんでしょう。だけどそれだけじゃ生き残れないから、どうにかして戦闘能力を身に着けた…みたいなバックボーンがあるような気がしました。どう考えても戦闘向きじゃないな舟耳仮面。

 

だけどミドに致命傷を負わせた辺りはすごい。ゾルダーのバズーカだけれど、ゴレンジャーの一人を負傷させるのはずいぶんな功績ですよね。そんなミドにミドメランで両耳を切り落とされるも、元々持っていた杖にくっつけでまさかの両刃の斧に。めちゃめちゃ戦い方考えてるじゃん、こいつ!!!!

多分自分がサポート側であることを十二分に自覚していて、戦う術を身に着けるために色々と努力を重ねたんだろうな…。そう思うとあんまり憎めないですね。ここから快進撃と思いきやあっさりやられてしまったのが残念。

 

 

 

第12話「銀色の超エネルギー! 焦熱地獄

銀色の超エネルギー!焦熱地獄

 

第8話の毒牙回以来の高久・新井共同脚本の回!前回は海外から来た親子の絆に焦点を当てるドラマ性の高いエピソードでしたが、今回も同様に普段よりエモーショナルな物語になっていました。怪人は2000℃にまで上昇させた銀熱パワーを放射する銀熱仮面。ビジュアルはどう見てもハエだけれど、大きな複眼から超高熱ビームを出し周囲を焼き尽くす恐ろしい敵でした。何気に炎タイプの怪人は初ですね。見た目はハエだけれど。今回は科学者の功績を奪ったりするのではなく、黒十字軍が自力で力を手に入れたパターン。銀熱仮面はこの力で東京を焦熱地獄に変えようと目論みます。

 

ただまあエネルギーチャージの時間が必要だったりと使い勝手はあまり良くないよう。しかしこの銀熱仮面の賢いところは、他の怪人のようにアジトを簡単に突き止められたりしないこと!ある地下にアジトを作っており、ゴレンジャーをもってしても場所の特定が叶わない。銀熱仮面、すごくいいです。他の怪人とは一味違う強さと賢さ。特殊能力もしっかりと強いし、強敵が現れた~という様子がしっかり演出されています。見た目がハエなのが本当に惜しい。

 

ゴレンジャー達ですらたどり着けなかった銀熱仮面のアジトだが、彼らのエネルギーチャージの瞬間を、なんと太郎君が目撃してしまう!しかもその姉である007の陽子もろとも、銀熱仮面に捕まってしまった。で、ここからがすごい。なんと陽子にスポットを当てて物語が進んでいくんです。ゴレンジャーの時点で5人もいるのに、江戸川総司令だってまだ謎ばかりなのに。正直本名よりも007というコードネームの方が先に出てくる女性セミレギュラーの、弟が捕まったことで組織を裏切らねばならないという心情描写をしっかりやる。勇気がすごい。

 

そして陽子は太郎を救うためにゴレンジャーに偽の情報を流す…。そこでアオが犠牲になり(網で捕まるのめっちゃ間抜け…)、陽子は海城に問い詰められる。ただ、ドラマ性が高いのは伝わってくるのだけれど、いかんせんこの海城の説教が全然響くものではなくて。要は任務よりも個人の都合や家族を優先してしまった陽子に対して厳しい言葉を掛けるというシーンなんですが、それが全然理にかなってないんですよね。だってあの場に居たら陽子はもうそうするしかない。新命がやられている以上そこを糾弾するのはアカの立場として共感できるけれど、じゃあ太郎君を見殺しにしろということになってしまう。ここで代替案を提示するでもなく、説教だけして去るの、少しズルいなと思ってしまいました。雰囲気が良かっただけに残念。

 

これに対してペギーが「言い過ぎじゃない?」と海城を諫めるんだけど、そこへの返答が「俺も姉を黒十字軍に殺された」というもので。まず姉貴???兄貴なら1話で殺されてたけど姉なの???と。聞き間違いかと思って何度か巻き戻しましたが、ちゃんと姉に聞こえる。じゃあ1話の兄貴はなんだったんだ。そこはまあ脚本家も異なるので別にいいんですが、姉を殺された過去があるなら猶更陽子の心情に寄り添ってあげるべきですよね。むしろ追及された陽子を助けるくらいのポジションであっていい。どうしてあんなに厳しいことを言ったんだよ海城…。真意が分からない。あまりにも言葉が足らなすぎる。

 

とまあ海城はだいぶ迷走していたんだけれど、対する陽子の心情描写はもうばっちり。自分の行動で新命が怪我を負って、どうにかしてこのミスを取り返さないとという思いが強く打ち出されていた。何と言っても爆弾を抱えてそのまま自爆覚悟ですからね。自己犠牲に至ってまでなお挽回を図るこの感じ、社会人なら少なからず共感してしまう。さすがに自爆はしないけど。ここまで書いていて、これ、自分の大好きな第5話と構図が同じだなあと気付きました。若輩者の明日香が自分の行動を反省して戦いに向き直る回。こちらも粗はあったけれど、どうもこういう話運びに弱いらしい。

 

かなりの強さを誇った銀熱仮面だけれど、今回は「めっちゃ強い」にステータスを全振りしたため、あまり個性は感じられなかったのが残念。その分ドラマパートに時間を費やして、キャラクターを深堀りしている。脚本家の違いでこうまで作風が変わるとはなあと、勉強になりました。セミレギュラーの陽子の話で展開していくのすごいなあと思ったんだけれど、よくよく考えたら8話はこっちが全然知らない外国人親子を軸にして進んでて、それの方がすごい。ラストの戦い後の仲直り~みたいなシーンも良かったです。8話の時も書いたけれど上原脚本にはないこのバトル後の小さな掛け合いがすごく好き。でも「偽情報を流したヨーコは自爆した」って海城が気を利かせたセリフを言うの、1回怒った手前全然響いてこなくて笑ってしまう。

 

 

第13話「ピンクの秘密! 人間爆弾を倒せ」

ピンクの秘密!人間爆弾を倒せ

 

またまたイーグル基地が襲撃されるシーンからのスタート。マジでイーグル、基地バレが早すぎる。それだけ黒十字軍が情報戦に長けているとも言えるけど、それにしても怪人に襲撃されると毎回その支部が全滅するのですごい。対策さえできていない。今回登場の角仮面は攻撃すると石になり無敵状態に突入できるだけでなく、赤いヘルメットを被った黒い全身タイツの人間爆弾を数多く従えるなかなかの強者。というか前回陽子が爆弾で自爆しようとしていただけに、それを敵がやってくるのはなかなか皮肉ですね。角仮面によると冒頭に壊滅したイーグル支部は関東13支部らしい。多すぎるだろ。チェーン店か???

 

角仮面は石になって突撃するような戦法を得意とするらしいんですが、なら角である必要は全くない。突き刺してこその角なんですが、角は別にどうでもいいみたいです。モチーフとの乖離はあるけど、実力は相当なもの。何せ3人で繰り出したゴレンジャーストームが全く効かないですからね!この前5人じゃなきゃできないってゴレンジャー自身が言ってたのに!!!あと角仮面、首から下もきちんと造形がされていて予算が潤っているのを感じます。1クール目の頑張りがこういうとこに反映されている。

 

角仮面が従える人間爆弾、てっきり人間を爆弾に変えてしまう『HUNTER×HUNTER』のゲンスルー的な能力を想定していました。それでゴレンジャーが民間人相手にうまく戦えなくなる~みたいな。でも実際には人間みたいな爆弾。まあ元が人間かどうかというのは分からないけれど、中にコンピュータが入っていて独特な動きでこちらを翻弄しつつ触ったら爆発するというもの。強いけど別にミサイルとかと結果は変わらなそう。そこまでの小型化はできなかったのかも。「人間爆弾」っていう言葉の強さが独り歩きしている感もありますね。

 

勝てないと判断したゴレンジャーを執拗に追い回す角仮面。なんとその杖には遠くの音を聞く力が!相も変わらずモチーフと一切関連のない超能力ですが、これでは舟耳仮面のアドバンテージが死んでしまう!!!いやでも舟耳仮面の力が活かされてそういう武器が作られたのかもしれない。何にせよ舟耳のことを思い出せてよかったです。それにしてもゴンは何回バレたら気が済むんだ。黒十字軍も何回ゴンに来るんだ、ほぼ常連だろ。怪人が来店して大ちゃん達がいつも通り振舞うんですが、どう考えても逃げるのが自然だろうに。化け物が来たのになぞなぞ解いてる方がおかしいですよね。その辺りで気付いてほしい角仮面。自分の見た目が変っていう自覚がないのか。

 

ゴレンジャーの事を聞かれて「聞いたことがあるわ」と反応してしまう008と009。あんまりセリフないキャラクターなのに余計なことしかしないな…と思ってしまった。そしておしゃべりなキは声で正体がバレかける。この辺りはちょっとしたリアリティがありますね。確かに声は変えられないし、メガレンジャーに登場したネジレンジャーも声で5人の正体を突き止めようとしてましたし。でそこから角仮面がゴンで大暴れ。人を傷つければゴレンジャーが出てくるだろうみたいなのは分かるけどね。そういえばゴレンジャーってそういうタイプのヒーローじゃないかも。誰かが呼んでる!助けなきゃ!っていうよりかは、黒十字軍のアジトに潜入したり黒十字軍から誰かを護衛したりっていう、任務の延長での戦いが多いですよね。現代のスーパー戦隊は目の前にサラッと敵が出てきたりするし、人々が襲われてるのを聞いて駆けつけるけど、そもそも黒十字軍が民衆を襲うみたいなシーンがあんまりない。いっつも採石場とかにいるな…。これも昭和特撮ならではかもしれません。

 

そこで総司令はボコボコにされ、大ちゃんは何故か顔面ケーキを喰らう。サプライズでやるやつじゃん。角仮面に好き勝手やられるけれど、まだ勝つ方法を見出してないから我慢するしかない。この海城の葛藤は良かったですね。そのままゴンを後にした角仮面をキが追いかける。ここでバトルが発生するんですが、角仮面の強さがどんどん際立ったいきます。そもそも人間爆弾が強い。触ったら爆発するのに加えて、ちょっとした格闘ができるし数もいるので戦いづらい。人間爆弾を乗り越えていざ角仮面と対峙できても石化がある。これはマジで強い。ゲームのラスボスでもありますよね。回復なしで3連続バトルとかに突入して、それぞれ弱点属性が違ったりとにかくMPを消費させられまくるやつ。あれだ角仮面は。

 

結局キは敗北しドライアイスと共に角デパートからゴンに送り付けられてしまう。なぜ殺さなかったのかが甚だ疑問ですが、それ以前にこの「存在しないデパートの名義でヒーローを宅配便で送り返す」というシステムが全然分からない。面白すぎる。キが関わるとカレーとかパンツ一丁とか、とにかく愉快な演出が出てきますね。でもゴンに送って来るっていうことはもうゴンバレてるってことだろ!!!

 

なのにゴレンジャーのアジトがゴンにあるとは気づかれていないらしく、角仮面はその勢いで次々とイーグルの基地を壊滅へと追い込んでいきます。逆に他の支部はどうしてこんなにバレているんだ。怪人の強さの表し方がイーグルへもたらした被害規模に直結してるんですよねこの作品。『ドラゴンボール』でいう戦闘力が壊滅させたイーグル基地の数みたいなところがある。

 

そんな暴れまくりの角怪人に対して総司令が思いついた作戦が「時間差攻撃法」。その場ですぐには明かされないですが、要するにゴレンジャーストームの中にちっちゃいゴレンジャーストームを仕掛けて時間差で攻撃しようというもの。こういう秘策って何かを見たりふとした会話の中からヒントを得て思いつくのがセオリーなのに、総司令のおかげですぐ実行できちゃうんだもんな。総司令はすごい。そしてこの親子爆弾を持って、ゴレンジャーはいよいよ角仮面に挑む。とにかく角仮面の強さを際立たせているのが印象的ですね。満を持してみたいな。バトルへの期待がどんどん高まっていく構成で善かったです。

 

今回バリブルーンの曲「とべ!バリブルーン」が流れました。初めてじゃない?と思って調べたらやっぱりこの回が初めて流れた回らしい。ゴレンジャーの曲は本当に癖になるのが多いし、歌詞も王道のヒーローっぽさに溢れていていいですよね。そして角仮面は遂にイーグル総司令本部にまで。なんでこんなに全部バレてるのにゴンだけは分からなかったんだこいつ。ゴレンジャーはまず人間爆弾に対して、それぞれのマシンで対抗。独特な動きで翻弄することによってコンピュータの計算を狂わせ、見事人間爆弾を始末することに成功します。というか人間爆弾の在庫が残り少なくてよかったな。さすがに基地壊滅に使いすぎたか。ラストの「時間差攻撃」は時間差というか簡易的なトラップでしたね。1つ目の爆弾はどうせ石で防がれるけど、多分2個目は予想してないからその隙をつこう、みたいな。だいぶ角仮面側の油断任せなアイデアでした。

 

 

第14話「赤い棺桶! ドクロ屋敷の怪」

赤い棺桶!ドクロ屋敷の怪

 

第14話にして初の曽田脚本回!曽田博久さんはここから『激走戦隊カーレンジャー』までスーパー戦隊の脚本を書いていく人なので、ある意味伝説の初回なのかもしれません。きっと気合も入るんだろうなあと思っていたらバリバリに個性を出してきてくれました。

まずドクロ仮面、総統の前に不気味な赤い棺桶に入って登場。見苦しい顔を出すのが失礼に値するという考えかららしいけど、どう考えても寝そべってるやつの方が失礼だろ。それに変な顔のやつこれまでもいっぱいたんだよな…。でもこういう登場だけで「いつもと違うのが来た!」と思わせてくれるのはいいですね。あれ?黒十字軍の怪人の顔って生まれつきのものなのかな…。ショッカーは改造人間ですけど、こいつらって一体何なんでしょうね。

 

ただドクロ仮面、「人間にすり替わることができるんです」とアピールして「例えば?」って聞かれてるのに「まず最初に原子炉を爆破してみせます」はまるで会話できてなくて面白かったです。総統の質問も良くないですよね。例えばも何もないだろ。すり替われると言ったらすり替われるんだよ。

 

街に響く不気味な鈴の音を捜査していたゴレンジャー。もうそんなレベルで動き出すようになったのか。でもある意味先見の明がありますよね。それがちゃんと黒十字軍の作戦の一部なわけなので。今回狙われたのは原子力発電所の江口博士。まさかの博士誘拐パターン!もうプロデューサーの指示なのか?脚本の初心者ガイドに「困った時は博士誘拐!」って赤字で書いてあるのかと疑ってしまうくらいに博士誘拐が多すぎるよ昭和特撮。

 

ただ、ドクロ仮面が一味違うのは誘拐の仕方がおしゃれなんですよね。突然メッセンジャーを名乗る不気味な配達員が家に来て、謎のレコードを渡してくる。それが招待状だと言うから聴いてみるとドクロ仮面の催眠音波の受信機になっていて、教授達は操られ、ドレスコードに着替えてパーティに行くようになってしまう、という。ドクロが関係ないのはさておき、とにかくおしゃれ。ギミックが多いですよね。平成の怪人なら催眠ビームとかですぐやるだろうに。怪人のモチーフがドクロということもあって、この第14話の前半は暗いシーンが続き、全体的に不気味な雰囲気が醸し出ていてよかったです。

 

そんあ操られた江口博士を前にして「あなたは江口博士では!?」と声を掛けるアカとキ。おじさんが外に出ているだけなのにと思ったけど真夜中にキメッキメのドレスコードは確かに怪しいかもしれない。というか任務と関連づけていないはずなのに教授の顔と名前が一致してるのすごいです。もしかしたらゴレンジャーは主要な国内の科学者のことを全部暗記しているのかもしれない。

 

ここでようやくドクロ仮面が登場するんですが、マジでやばい!これは確かに上司の前に現れるのは失礼レベル!他の怪人と比べても間違いなくやばい!まず、ドクロなのにグロテスクな色の眼球が飛び出ているのがすごいです。その上首からいくつものしゃれこうべをぶら下げていてあまりにドクロ要素が強すぎる。失礼かどうかは置いておいて、確かにこの顔を失礼だと思う意識は共感できるものかもしれません。

 

そして別日、新命が地上に降りているパターンは珍しいですね。パーティ会場の合言葉は「ワルツは4分の3拍子」。めっちゃおしゃれ~。曽田脚本、バチバチにセンスを発揮してきています。その流れで大ちゃんに変装と潜入を迫る海城、これもいい!この他のメンバーをイジってやりたい~みたいな遊び心丸出しの海城、ありそうでなかったキャラ造形で一気に好きになってしまった。この前007に理不尽に説教してたのもチャラでいいです。

 

そしてメッセンジャーも担っていたドクロ仮面の部下は、なんとドクロスープまで作ることができる!硫酸をめっちゃ入れてましたね。黒魔術っぽいなあ。魔女仮面がコミカルに終わってしまった分、ドクロ仮面の不気味さは半端じゃない。しかもこいつ、眼球が光るらしくて本当に最悪です。ドクロのストレートな怖さからは逸脱したヤバさを持っている。で、このドクロスープを飲むと骨と肉が分離しやすい状態になり、その状態ならドクロ仮面が機械を使ってその人間にすり替わることができるようになるという流れ。回りくどすぎる。ゾルダーがクルッて1回転して変装する時とかあるのにね。しかも誘拐の口実であるパーティもちゃんとやるのが偉い。ご飯こそ全部骨だけれど、ダンスまで用意する周到さ。無駄にディティールが凝っていてすごくいいですね。しかもそのどれもに一貫性がある辺りがいい。上原脚本は唐突に変なものが突っ込まれる時があって面食らうけれど、曽田脚本はレールの上でふざけ切っているという感じ。そう感じるのはサブライターというのもあるかもしれません。この辺りは上原脚本の味付けになれている分、めちゃくちゃ新鮮ですね。にしても都合よく教授陣がみんなタキシード持ってるの面白すぎる…。

 

しかし、ドクロ仮面のすり替わりは一切その効果を発揮することなくバトルパートへ。こういうのってまず「すり替わってました~!」を冒頭に持ってきて脅威を見せつけるのが普通なのに、こいつはすり替わりがゴールなんですよね。誘拐も実質阻止されてしまっているし、マジで何もしていない。他の怪人はこの30分でイーグル基地をどんどんぶっ壊してたのに…。ちょっとした着替えくらいですよドクロ仮面がしたのは。

 

そしてバトルパートでもまるで力を発揮できないドクロ仮面。負けそうになり、「棺桶に入るとパワーが100倍になるのだ!」って言って棺桶に入ったんですけど、それはどう考えても声に出していいことじゃない。後、こういう能力の場合は先にゾルダーに戦わせてその隙に棺桶に入っておくんだよ。自分一人になってから無防備な棺桶に入ったら格好の的でしょうに…って思ったら案の定小型爆弾付きのブルーチェリーで一撃でやられてて本当に面白かった。何がしたいんだよコイツ。すり替わりに全てを託しすぎでしょ。ゴレンジャーはそんなドクロ仮面に対し「ゴレンジャーストーム 稲妻落とし!」を喰らわせる。いつもとそう違わないように思って一応Wikipediaを確認したんですが記載は特になかったです。というかWikiのゴレンジャーストームのところ、あまりに詳しすぎる。「おのれゴレンジャー」で締めるばかりの総統もやっぱりドクロ仮面にはブチギレ。確かに完全に自信過剰でしたね。すり替わりに頼りすぎ。ビジュアルが良かっただけに全然弱かったのが残念。

 

 

 

 

第15話「青い大要塞! 大暴れバリブルーン」

青い大要塞!大暴れバリブルーン

 

遂に…遂にゴレンジャーに中ボスが登場!アフリカ前線で連戦連勝を果たした優秀な怪人・日輪仮面編が始まりました。今回はゲスト怪人の虹仮面との戦いを描きながらも随所に日輪仮面の幹部としての格が演出されていて、いつもとは違う見応えのある回になっていました。怪人のユニークさだけでも充分通用するんじゃないかと思っていたけれど、やっぱりこういう強敵感のある怪人の登場は燃えます。

 

いきなりミニチュアから始まる第15話。虹仮面のアジトである虹の要塞。そこに張られたドーム状のバリアはミサイルすらも防ぐ。まさに鉄壁の要塞で、ちょっとよく分からないけれどこの無敵バリアを備える虹の要塞を使って虹仮面は日本列島を攻めようとしているらしい。しかしそこに日輪仮面が登場!バリアが真上からの攻撃には弱いことを指摘し、ゴレンジャーにはバリブルーンがあるためにそこを突かれたら終わりだと説明。自惚れた怪人の足元を掬うこのやり口、幹部っぽい~優秀っぽい~。めちゃくちゃ良いスタートを切ってくれました。でも顔が間抜けなんだよな…。目力がなさすぎる。それでもタイツが赤色なのでしっかりと差別化ができています。

 

日輪仮面と虹仮面はまずイーグルの支部を急襲することに。今回やられたのは第16分隊。本当に次々と死んでいくなイーグル隊員…。もう16とか言わず1でいいでしょ。多分1は全滅してるはず。永久欠番にしないで1を補充しなさい。虹仮面の目的はバリブルーンの奪略であり、しかもそれをあっさりと行ってしまう。いやあこれ日輪仮面が色々入れ知恵したんだろうなあと思わせてくれる感じ、マジで強キャラ感をどんどん出してくる。あと何故か今回、フィルムの早回しとか巻き戻しとか、古風な特撮演出が目立ちますね。急だな。

 

虹仮面、まさかの鳴き声がレインボー。いや、半角の方がいいかも。レインボー。あまりに間抜けすぎる。戦いの相手がこんなんずっと言ってきたら俺は笑い死んでしまう。ただアオが単体で怪人と戦う描写って少ないので、結構貴重ですね。しかも負けるという。新命が特にハンデなく負ける辺りも「ヤバい!」感が強いです。もっと言うと、バリブルーンを盗むというのが虹の要塞関係なくすごい作戦なんですよね。だってそれはすなわちゴレンジャーから機動力を奪うことだから。結局デカいメカを持ってるアドバンテージって強いので、ここに目をつけて虹の要塞の弱点を克服するだけでなくついでに東京爆破しちゃえよと作戦に利用する辺りが鋭い。作戦の流れがシームレスな辺り、日輪仮面マジで仕事ができるな…。というか上原脚本が怪人の作戦の整合性に対して本気を出してきた節まで勘ぐってしまう。奪われたバリブルーンが薄い黒幕みたいなのをまとわされてるのいいですね。闇落ちだ。そんな闇バリブルーンが東京中を火の海にするシーンは何とも恐ろしい…。市街地にまで被害を出せる怪人って実はゴレンジャーでそう多くないことに気付いた頃だったので、余計に恐怖がすごいです。

 

バリブルーン奪還のため、新命はロープウェイに飛び乗る!これまた命綱ないのでは…。危険な生身アクションが輝きますね。でも新命が宮内洋さんっていうのと普段バリブルーンの操縦をしてばっかりっていうことで、もう新命の生身アクションってだけでお宝映像感が出てくるんですよ。ズルいなこれは。そして奪い返した後、見事な大活躍を披露するバリブルーン。それこそ怪人を直接倒すような場面には恵まれないけれど、ゴレンジャーの一大戦力としての力を思う存分発揮してくれた回でした。

 

虹仮面が勝手に調子乗って一人で作戦進めた途端に新命に裏をかかれたし、やっぱり日輪仮面の功績はとても大きいのかもしれません。というか虹仮面、レインボーファイヤーって言って火花出すのめちゃくちゃダサい。つかその仮面なんだ???変な色のオウムでしょ。虹仮面の虹感、鳴き声がレインボー以外にどこにもないのが本当にすごい。最終決戦は海岸へ。足場が悪くてもしっかりとゴレンジャーストームを繰り出せるのはさすがですね。そしてラストは初期のように、次回に先駆けて鏡仮面が登場!ちょっとこの「次はお前が出動だ!」の流れ久しぶりで嬉しい。にしても日輪と鏡は相性がよさそうだな…。

 

 

というわけで秘密戦隊ゴレンジャー感想第3弾。第11話~第15話まででした。日輪仮面が登場してこれからまた少しテイストが変わるのでしょうか。でしょうかとか言ってもうゴレンジャー3周目くらいですけど全然覚えてない。

 

 

 

進め! ゴレンジャー

進め! ゴレンジャー

  • Nippon Columbia Co., Ltd.
Amazon