スーパー戦隊シリーズ『秘密戦隊ゴレンジャー』感想 その2

ずいぶん間が空いてしまいましたが、ゴレンジャー感想第2弾です。

今回は第6話~第10話まで。前回紹介した第1話~第5話までは5人それぞれの出身基地を壊滅に追い込んだ怪人達とのバトルだったんですが、ここからは更に怪人のバラエティが豊かになってきました。

もしネタバレ等気にされる方がいれば(いるか?)前回の分からお読みください。

 

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第6話「赤い謎! スパイルートを海に追え」

赤い謎!スパイルートを海に追え

 

第6話。5人の自己紹介のような回が一巡して、サブタイトルの色が赤に戻りました。でも赤い謎?赤い謎って何?

 

今回の怪人は鉄輪仮面。前回の記事でも話しましたが、6話以降は「次回の怪人は何だ?」というワクワクが次回予告まで続くのですごく楽しみです。スーパー戦隊の良さってやっぱり1話で倒す怪人の個性の強さだなあと改めて。で、今回は鉄輪(てつりん)。鉄輪って何?というか見た目があまりにTENGAすぎる。調べたらTENGAの発売は2005年らしい。当時はまさかこんな不名誉な怪人になるなんて思いもよらなかっただろう。でも鉄輪って何だよ。

 

物語は鉄輪仮面が謎の男から1億という大金でものすごく雑なイーグル設計図を買う場面から始まる。黒十字軍がこんな真っ当に取引をするはずがないと思ったら、案の定取引相手を車ごと爆破。でも1億も消し飛んでない?偽札だったのかな。というか設計図が雑すぎて物語が全然入ってこない。間取りしか書いてなかっただろ。言葉で「窓は三重、警備員が常駐」とかいろいろ言われてたけど、そういうのも書いてもらっとけよ。これに1億払うのがアホすぎる。極めつけは最後の十字を切りながらの「お・き・の・ど・く・に」。もう一気に心を掴まれてしまったぜ鉄輪仮面…。

 

ただ前回の毒ガス仮面が体を気化する能力を獲得していたのに、その後に体をバラバラにできる怪人はさすがに食い合わせが悪かった。体の輪っかをバラバラにして隙間からどこにでも入ってくるんだけど、「どこにでも入れる」のアイデンティティはどう考えても気化するやつの方が持ってるんですよね。それにしも、イーグルは潜入されすぎている。ウエストランド井口にそろそろネタにされるだろ。「潜入されすぎている!」

 

そして忍び込んだ基地で「イーグルもゴレンジャーも殲滅できるマイクロフィルム」を入手。なんとイーグルの秘密部隊の所在地のデータが入っているらしい。そこにはゴレンジャーの基地の情報も…!いや、ゴレンジャー基地はもう何度も怪人が出入りしてるんですよね。しかもミラクルで普通に店に入ってきた毒ガス仮面の株が余計に上がっちゃうよ。

 

で、今回出動するのは海城と明日香。前回明日香をフィーチャーしたのに2回連続とはおいしい。このメンバー人選、ストーリーにあまり絡まないしどういう理由か分からない~みたいな話を以前の感想記事でしたんですが、役者さんのスケジュールとかそういう大人の事情もあるのかもしれない。新命役の宮内さんが忙しくてあんまり出てこないみたいな話も聞きますもんね。そういう意味で海城と明日香は出やすいのかな。今回ペギーと大ちゃんでさえほぼ出番なしだったので気になりました。

 

海城達に追われバイク、そしてボートに乗る鉄輪仮面。怪人が普通に乗り物乗るのが大好きなのでこのシーンは本当に良かった。対するゴレンジャーもボートに。海上用のマシンを持っていないので普通にそこにあるボートに乗るの、すごいな。そこから体感3分くらいボートレースが続く。のだけれど、あんまり見応えがない。早くミドメランを投げてくれミドレンジャー。結局鉄輪仮面はその場に居合わせたクルーザーに乗船。持ち主の一家を人質に取ってしまう。

 

鉄輪仮面、輪投げみたいな感じで輪を投げて爆発させてくるのか~と思ったら輪投げをしているお嬢ちゃんが出てくるので笑ってしまった。クルーザーの上でやりますかね、輪投げ。でもこの家族、本当に楽しい時間を過ごしていただけなんだろうに、巻き込まれちゃうのマジでかわいそうだなあ…。科学者の家族はもう何だか人質にされて当然くらいまで思っちゃってるんですけど、こういう行き当たりばったりは結構悲しい。船長は言う通りにしたのに結局人質にされる家族。マイクロチップの解読、盗んだ瞬間にやればよかったんじゃない??

 

解読は途中ながら暴かれていくイーグルの秘密基地が次々と襲撃されていく。黒十字軍、ミサイル放てるレベルの軍事力を既に有しているんですね。本当に末恐ろしいやつらだ。でもミサイルの出どころとかから基地バレたりしないのかな。にしてもイーグルは本当に基地や支部襲撃に気を付けてくれ…。でも今回、破壊シーンと銃撃シーンで被害の模様が一気に伝わってくるのですごくいいです。ミニチュアとはいえ地割れまで起きてたし、次々に人が撃たれるのもすごい。瓦礫の山の前で立ち尽くす明日香と海城のシーンも胸にくる。ここで気付いたんですけど海城のグリーンスーツ、めちゃくちゃかっこいい。この人ジャケット似合いすぎません?

 

で、遅れてキとモモが合流。バリブルーンから飛び出してくるのは初めてのパターンですね。ゴレンジャー、飛行機能あるのが地味に嬉しい。そして救い出した子どもに好かれている明日香。人懐っこいし確かに子どもは明日香みたいなお兄ちゃんいると安心するだろうなあ。こういう細かい描写好きです。でも「さっき褒めてくれた」ってクルーザーの輪投げのこと言ってたってことは、ものの数時間でイーグルの基地一気にやられたってこと???さすがにやばくない???

 

そして戦闘シーン。アオの活躍で鉄輪仮面の体のコンピュータを破壊することに成功。体のコンピュータ??? 結局鉄輪仮面の「体をバラバラにしてどこにでも潜入できる」があまり活かされずに終わってしまいました。別に鉄じゃなくても良さそうだったし、もっと身近で怖い感じのモチーフあるだろ!最後、子どもに「ありがと~」って叫ばれながらのエンディングはヒーロー番組って感じがして好き。今回は謎の海上回でした。

 

 

 

第7話「ピンクの月光! オオカミ部隊」

ピンクの月光!オオカミ部隊

 

サブタイトルに遂にピンクが!できるなら4話で「紅」とか使ったの何だったんでしょう。そしてこの回、サムネもそうなんですけどとにかくインパクトが強い。これまでの軍事的スパイもの路線から一転しようとしたのを感じるというか、明らかに作品のトーンがビジュアル面で大きく変わったなという印象。変わりすぎ。

 

学校(幼稚園?)でみんなと馴染めない女の子リカちゃんが、突如オオカミ人間に誘拐されてしまうところからスタート。まずこの毛フッサフサのオオカミ人間のビジュアルが強すぎる。これまで青銅とかヒスイとか鉄輪とかそういうモチーフで頑張ってた作品とは思えない。しかもオオカミにしては毛色が茶色すぎるんですよね。あんまりオオカミにこの色のイメージはないんですが…。で、その現場にやってきた海城とペギー。オオカミ人間を追う警察に「なんだ君たちは…」と冷たくされるのですが、それがいい。ヒーローは国家権力に対してちょっと舐められてるくらいがいいんですよね。『仮面ライダークウガ』の徐々に警察と距離詰めていく感じがすごく好きなので、やっぱりヒーローと国家権力は簡単には相容れないものであってほしいという気持ちがあります。

 

そしてなんと、オオカミ人間の正体は1週間行方不明だったリカちゃんのパパでした!そこから「オオカミ男にされたんだ…」と速攻で判断する海城。黒十字軍と戦っている分、もう思考回路がちょっとSFになってきているのかもしれない。そしてリカちゃんパパは「三日月仮面にオオカミ人間にされた」と。オオカミなのに満月じゃないんだ!あんまり三日月とオオカミのイメージはないけどな…。そして呟いた「オオカミ部隊」というワードに対して「オオカミ部隊?そんな部隊があるんですか!?」と食い気味の海城。なんだか分からないけれどここで死ぬほど笑ってしまった。

 

いや普通「オオカミ部隊、なんですかそれは!?」とかじゃないですか。「オオカミ部隊だと!?」とか。なのに「そんな部隊があるんですか!?」っていう質問の仕方がもう脳が死んでる感じがしててめちゃくちゃウケちゃったんですよね。これが明日香や大ちゃんなら大丈夫だったかも。海城にこういうのやられると弱い。そして、そこに突如現れる三日月仮面!どうやらリカちゃんパパはオオカミ8号らしい。まだあんまりいないなオオカミ人間。というかこの三日月仮面のビジュアルもインパクトがありすぎるんですよ!!!真っ赤な上に、三日月をその角度で仮面にする!?みたいな。普通横からでしょ三日月は。なんでこっちに向かって尖ってるんだよ。でも、黄金仮面と同じで細目と長い口なので、見た目のホラー度はすごく高いんですよね。たださすがにやばい。顔の形が三日月はさすがに強いって。

 

でこの三日月仮面、ただビジュアルが強いだけじゃなく、実力も相当なもの。なんたってアカレンジャーとの一騎打ちで大勝利を収めるわけですからね。まさかまさかのバイク対決。バイクに乗ってレッドと戦う怪人なんてもう中ボスとかライバルじゃん。しかも色も赤だし。こんなふざけた見た目の怪人が担っていいポジションじゃないんですよ。アカもアカでレッドビュートをバイクに引っ掛けられたまま引きずられてるし…。地味にすごい対決でしたね。アカが負けてしまうという結末も含めて。

 

そしてオオカミ部隊によってまたもイーグルの部隊が壊滅。イーグル、全滅がお家芸と化してきていて本当に辛い。というかこの時点ではまだオオカミ人間1匹しか見てないのに、オオカミ部隊の存在をさらっと受け入れてるペギーが面白いですね。というかオオカミ部隊っていうのがもうそもそも面白いんだよ。しかし、調査を続けるペギーは何故かいきなり警察に逮捕されてしまう。なんとペギーが居たのは黒十字軍の街で、警察署長は三日月仮面だったのだ!だったのだ、とか言いましたけど普通にすごいなこいつら。

 

そこでオオカミ部隊の訓練場に連れていかれるわけですが、こいつらジャンプの特訓ばっかりさせられてない?火の輪くぐり、いる??というかオオカミになることのメリットとかもよく分かってないので、単に「いやだな」としか思えないですね。毛むくじゃらになって三日月仮面の奴隷となってしまうのは確実なんだろうけども。で、オオカミ人間にするにはオオカミの染色体を植え付ければいいらしいです。注射1本ですぐなれる。ペギーは「全人類オオカミ人間にできてしまうわ!」みたいに気付いてたけど、そんなことする必要あるのかな…。相変わらず黒十字軍って計画のゴールがよく分からないですよね。みんなオオカミ人間にして楽しいのかな?あとオオカミ人間が攻撃の時とか倒れる時に「ウォーッ!」って叫ぶの面白かったです。オオカミであろうとしている感、というか。

 

で、ペギーは脱出して5人そろってゴレンジャー!という感じでバトルに突入。アカだけでは無理でも5人揃えばゴレンジャーは最強。途中三日月仮面は実は武器こそが本体だった、みたいな流れがありましたけど、アオのブルーチェリーで武器を射止めて一撃。強かったのはそれが本体だったからか~という納得もできない感じでしたね。それこそ攻撃が効かないとかっていう描写があったら別だったけど、マジでアカ負けてたじゃん。

 

今週も子どもに「ありがと~」って言ってもらえるラストで最高でした…と思いきやいきなり出てくる毒牙仮面!いやビジュアルのインパクトが強すぎるって。さすがに三日月から毒牙の流れは子どもトラウマになるよ。何あの目とデカい耳。牙よりそっちだろ。だんだんとゴレンジャーが「怪人でふざける」をやり始めたなという感じの第7話でした。

 

 

第8話「黒い恐怖! 殺しの毒牙」

黒い恐怖!殺しの毒牙

 

いよいよきました!何がかいうと、上原脚本以外の回です!

ここまで7話、全て上原正三脚本だったと考えるとすごいことですよね。ですが今回は、高久・荒井の両脚本家の回。脚本家によって作品尾トーンがガラッと変わるみたいなことが昭和特撮では全然起こり得るわけですが、ゴレンジャーも当にそれでした。これまでゴレンジャーの味だと思っていたものが、実は上原脚本の味だったことに気づかされますね。

 

いきなり登場する外国人のMr.スコット。黒十字軍に狙われる彼の護衛をゴレンジャーが務めるわけですが、何故狙われているかはすぐには明かされない。この「謎を追う」タイプの話運びがちょっと新鮮。まあなんで明かさないかはよく分からないんですけども。毒牙仮面、本人曰く「暗殺において右に出る者がいない」らしいけど、どう考えても暗殺には不向きな姿でしょ。デカい目とデカい耳。第7話のラストにチラッと出ただけで相当なインパクトだったのに暗殺!?多分自分が暗殺だと思ってるだけで、普通に強いんじゃないかなこいつ。で、能力はなんと蛇を操る。地味…確かに暗殺向きかもしれない。

 

で、これまでずっと「ゴレンジャーぶっ潰すぞ!」という黒十字軍の勢いで話が進んでいたように思うんですが、この第8話は黒十字軍に殺したい相手がいて、それをゴレンジャーが護衛するというちょっと変わった話運びなんですよね。更に言うと、Mr.スコットとその娘のエミの物語が軸になっていて。ちょっといつものアクション満載って感じから離れているんですよ。その辺りも見どころというか、いつもと違うなあという印象を受けました。

 

護衛対象がいろんな勝手をやるせいでヒーローが翻弄されるのはよくあるけど、Mr.スコットっていうおじさんがお姫様ばりに勝手しちゃうのが面白い。その流れで彼がノーベル賞を受賞した平和主義者だということが分かるのだけれど、だとしたら殺さない方が良くないか??? 彼のせいで世界が黒十字軍壊滅に向けて動き出してしまったら困るのは分かるけど、そもそもそれを掲げてる人を殺すのは逆に世論を煽る形になる気がする。までも細かいことは気にしません。

 

大ちゃんが護衛についていると聞いて「大丈夫かぁ」と怪訝な顔をする総司令。初参加の脚本家達にキはやばいやつって認定されてるのが面白いです。で、実際にカレー食べてるすきに消えてしまったと。マジでヤバいだろ大岩…。スコットの来日目的が15年前に別れた娘との再会であることが判明。でもこれ、別にゴレンジャーに隠す必要なくないですか??言えばいいじゃん。むしろ娘も護ってもらったらよかったじゃん。案の定情報を手に入れた毒牙仮面が先回りして娘に化けて、スコットを襲撃。毒に苦しむことに。ゴレンジャーはそこで本物の娘エミと出会うものの、エミはスコットを父親と認めようとしない…。エミが子どもならまだしももう立派な大人なので、何だか普通にドラマやってるな~という印象が強かった。

 

スコットを噛んだコブラの名前はスーパーコブラ。アホっぽいネーミングですが血清が全然ないのは確かにスーパー。アオとキという組み合わせでわざわざ血清を取りに行くことに。アオが地上に居ることがもう珍しいですね。まだ8話だけれど。同じく血清を奪おうとした黒十字軍から何とか奪い返し、血清を入手する2人。一方スコットの病室では頑なにスコットを認めようとしないエミにゴレンジャーが説教…。ちょっとこれは見ていて心が痛かったですね。父親と呼ばないエミだけが悪いみたいな言い方。穿った見方をするのなら、親に反抗する若い娘という人物像が怒られて然るべきという時代だったのかもしれない。きっとエミだって小さい頃にいきなり父親が消えて辛かっただろうに…。もちろんスコットにも理由はあるのだろうけど、一方的にエミを責めるようなゴレンジャーの態度が結構観ていて辛かった。

 

そしてバトル。さすがにバトルで暗殺は不可能なので、いきなりスネーク爆弾なる必殺技を持ち込む毒牙仮面。普通の爆弾でいいだろうに、個性出すために蛇の形にしたのかな。でも多分「蛇だと思ったら爆弾だった」みたいなフェイクの意味合いもあると思うんですよ。『HUNTER×HUNTER』でいうと、クラピカが操作系だと勘違いさせるために常に鎖を具現化している、みたいな。何か前回もクラピカの話した気がする。とにかく、蛇が近づいてくる…噛まれないように逃げなきゃ!と見せかけて、もうそこでドカーン!みたいな。そういう二重構造になってる武器と考えると面白いですよね。まあ意味はないんだけど。でもモモに速攻で爆弾だわって見破られてたのでやっぱりモモレンジャーはすごい。

 

ドラマ性が強くて面白い回でしたが、結末にはちょっと納得がいかず。ヒーローの説教、語り口こそ優しかったけど結構観ていられなかったな…。令和の今だとなおさら。ただ、バトル終わりに蛇のおもちゃで遊ぶゴレンジャーの面々のシーンはよかったです。めっちゃよかった。確かに上原脚本だとバトル終わった後は黒十字軍が悔しがって、最後ナレーションと共にバイクシーンになっちゃうんですよね。でもこういう日常の一コマみたいな楽しいシーンが、すごく効果的な感じがしました。やっぱり戦隊には普段から仲良くしていてほしい。

 

 

第9話「青い影法師 バリブルーン秘密戦略」

青い影法師バリブルーン秘密戦略

 

今回の怪人は魔女仮面。サムネでも出ていますがこいつも顔のインパクトがすごい。マントと杖で何とか魔女要素を保ってはいるものの、マスクだけなら魔女ではないと思う。普通に怪物。そんな魔女仮面がイーグルの冷凍ビーム砲を輸送中に奪いに来るところから始まるのですが、イーグルはなんでそんなものを作るんだ。日本を凍土の中に閉じ込めてやる~と意気揚々。冷凍ビーム砲とかあるならとっとと黒十字軍のアジトを突き止めて撃っちゃえばいいのに…。

 

魔女仮面、「じゃ」っていう語尾が結構かわいい。仮面が明らかに魔女じゃないせいかそういう「魔女っぽく」頑張ろうとしているところにちょっと好感が持てます。箒に乗って空を飛ぶのもいい。考えてみるとここまでで一番モチーフをしっかりと活かした怪人かもしれない。仮面はどう考えても魔女ではないけれど。水晶とかにも変身できるし、杖から炎も出すことができる。というか魔女って万能すぎません?? 敵が毎週魔女でもいいくらいでしょ。

 

でまあそんな強い魔女仮面なんですけど、ゴレンジャー達にあっさりと要塞がバレていて。そこでまた階段を上るキの前にカレーが用意されるという。キのカレー好きはなんでバレてるんだよ。しかも今回はちゃんと作戦に利用されて毒か何かを盛られてしまう。逆に言えばそれがセオリーですよね。本当に美味しいカレーを用意していただけの青銅仮面が狂っている。捕まった後にそれを「芝居だ!」と大ちゃんは言うんだけど、なんかそうは見えないんだよな…。別にそうじゃなくてもどっちでも大ちゃんらしいのがすごいですよね。その後杖を操る魔女仮面に対して大ちゃんが捕まり直してしまうんだけど、その拷問シーンはがっつり杖で殴るタイプのバイオレンス。口を割らせる精神的な魔法とかも持っていたら強かったですね、魔女仮面。

 

その後助けに来た新命の乗るバリブルーンが冷凍ビーム砲の餌食に。バリブルーンがやられかけるっていうのは結構ピンチ感が強くていいですね。新命が焦ること自体もそうな気がする。で、そこから冷凍ビームによって魔女仮面が次々とイーグルを襲撃するわけですけど、正直こいつにその手の小細工はいらない。確かに早いけど、魔術使えるような奴は冷凍ビームとかもういいだろ。

 

地面からぬっと顔を出し、魔女仮面の車の下に張り付くアカレンジャーゾルダーに変装する海城。この辺りはスパイっぽくて好きでした。ゴレンジャーのこの泥臭いスパイ感が本当に好きなんですよね。今後引き続いていくか忘れちゃったけれど。そして脱出と共にパンツ一丁になってしまう大ちゃん。仮にもヒーローをパンツ一丁にするの、なかなか勇気がありますよね。まだ第9話なのに。やっぱりこれもヒーローが5人いるからこそできるのでしょう。一人だったらヒーローをひたすらかっこよく見せなくてはならない。特にこの時代は。だけど5人いることによって、これまでの特撮ヒーロー番組では脇役だったようなメンバーや三枚目を担っていたキャラクターもヒーローにすることができるようになったのはやっぱり革命ですよね。

 

マントを被った大ちゃんが魔女仮面と言い張ってなぞなぞ対決という茶番をするパート。茶番すぎて好きです。マントを脱いで本当にパンツ一丁と帽子だけになってしまった大ちゃんが面白すぎる。大ちゃんのキャラクターの面白さもそうですけど、海城の冷静さやカッコよさも同時に際立ちますよね。大ちゃんが馬鹿をやればやるほど、海城や新命の強さが引き立つし、そこで大ちゃんが一つ挽回したらそれはそれで結構胸を打つ。そして実際大ちゃんはちゃんとバカをやってくれるので、もうこの時点で永久機関みたいなのができてるんですよね。

 

海城達の口車に乗せられてバリブルーンを呼ばせてしまう魔女仮面。いや本当に魔女仮面、実力は相当なものなのにおつむが弱すぎる。人の感情の機微を理解できない故に騙されやすい、みたいな。それこそ化け物みがありますね。にしてもバリブルーンの技「ブルースモーク」ってあまりに安直だな…。ただ今回、バリブルーンの秘密マシン感がすごくよく出ていました。

 

何気にゴレンジャーストームにトゲトゲが付いていた。最後は冷凍ビーム砲を魔女仮面のアジトに向けて発射して完。コミカルな回でよかったです。

 

第10話「赤い風船! 風速100メートル」

赤い風船!風速100メートル

 

「赤い風船!」というサブタイトルの後にいきなり赤い風船を持って走っている女の子が出てくる演出がおしゃれです。

今回の怪人はツバサ仮面。ハリケーンダイオードなるものを使って風速100mのハリケーンを起こそうと考えている様子。いきなりイーグルのスパイにダイオードを盗まれてしまうものの、必殺技の「翼コンドル」(翼を投げるだけ)で見事に取り返す。というかイーグルの諜報員、0010もいたんですね。007から009までが若い女性なのに0010はおじさんなのか。もしかしたら3人はとても優秀なのかもしれない。

 

ツバサ仮面、正直実力としてはここ最近の怪人の中ではかなり見劣りしている気がしました。毒牙や魔女の初見のインパクトに比べると、スタイリッシュにまとまってしまっていてどうも弱い。いや怪人なんてそれでいいはずなんだけど、アイツらが強すぎる。それでいてやることも翼を投げてきたり爆弾を使うような地味なものなので、どうにもインパクトは弱い。ただ最後まで観ると、それもいいのかなあなんて思いました。

 

女の子に風船を渡すことで彼女を「ボディーガード」にしてゴレンジャーを妨害するツバサ仮面。どう考えてもただの人質なんですけど、海城は頑なにボディーガードと言い張る。でもこの辺りちょっと賢いですよね。単に人質を取るだけではなく、子どもを懐柔しようとしているところに個性を感じました。そんな女の子に対してペギーが「風船がいっぱいあるとこに連れてってあげる」と。これはさすがに違う。素直にツバサ仮面が悪い奴だと話してあげればよかったのに…。ちょっと子どもを馬鹿にしているようにさえ見えてしまう。

 

そこから船上での戦いがスタート。海城が何でロープを渡って船に乗り込んだのかは全く不明なのだけど、そこがいい。海にこそ出なかったけれど、いつもの採掘場のようなとことは違う場所での戦いなので、どことなくテンションが上がる。しかし、モモレンジャーがあさりと捕まってしまう。まさか網ごときで…。あまりに不用意。その流れで女の子が実は父親を亡くした悲しい子であることが明かされる。ゲストにしてはやけに存在感の強い子である。捕まったモモは十字架みたいに鉄塔に括りつけられる。思ったんですけど、今のニチアサだったら相手を捕まえてもきちんと後ろ手で縛りますよね…。この手を広げて縛るやり方、昭和特撮ではよく見るけどいつ頃から廃止されたんでしょう。廃止というか変化というか。この辺りこのままスーパー戦隊を観ていけば分かるかもしれない。

 

そこからしばらくゴレンジャースーツでのシーンが続く。何か役者さん達に事情があったのか…。と勘繰ってしまうけれど、これはこれで斬新でいいんですよね。ゴレンジャーって結構マシンとかで颯爽と現れる(あと名乗りの時に突然出てくる)イメージが強いので、スーツ姿で泥臭いことやってるとギャップで好きになってしまう。結局フェイクの爆弾を解除させられたアカとモモとミドが大ピンチに。どうするんだろうと思ったらしれっとアオとキが駆けつけてしまった。

 

そこからラストバトルに突入。ハリケーンを起こすツバサ仮面に対してアカレンジャーがツバサ仮面の周囲は台風の目になっていることに気付き、真上から奇襲。ちょっと説得力が弱い倒し方だった…。結局ツバサ仮面のツバサ感もあんまり出てなかったのが残念。ハリケーンと共通するの風属性っていうくらいですもんね。これならハリケーン仮面とかでもよかった。でも倒された後に黒十字総統が「無念…」って呟くくらいには有望株だったのかもしれない。もしくは仲良かったのかな。ツバサ仮面、ひょうきんなところが一切ないから自然と上司の懐に入り込むのが上手いのかもしれない。

 

ただ今回の肝はやっぱり女の子にあって。風船となぞなぞが大好きな彼女にとっては、風船をくれたツバサ仮面は優しいおじさんだというオチがすごいんですよね。ちょっと描写的にツバサ仮面に明らかに人質にされていたりで説得力こそ弱いんですけど、そういう回を10話にきてやるか~という感慨深さ。『仮面ライダー龍騎』でも逃亡犯の浅倉を慕う女の子が出てくるんですけど、この回も良くて。行動の一つだけを切り取れば時に悪人が誰かにとっての善人になることもある~みたいな話がすごく好きなんですよね。昭和特撮なのでそれにしては…ってツッコミどころもたくさんあるし、その描写がこちらの心情をきちんと誘導するほど上手かったかというとそうでもないんですけど。それでも変化球としては結構良かったです。

 

 

というわけで第6話~第10話の感想でした。三日月、毒牙、魔女。この激ヤバ怪人さん連発の流れがすごかったです。怪人遊びが始まってきたというか。これからにも期待したいところ。

 

 

 

 

進め! ゴレンジャー

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