スーパーヒーロータイム語り ギーツ第5話・ドンブラ ドン31話

ギーツ、早いものでもう始まって一ヶ月か…。と驚く。次の放送直前になってしまったが、なんとか更新できて本当に良かった。

 

仮面ライダーギーツ 第5話『邂逅Ⅳ:デュオ神経衰弱』

待ちに待ったバッファ回。2号ライダーの立ち位置はタイクーンだけど、ギーツのライバルはバッファであるという何とも複雑な構造のこの作品。1話と2話が景和の、3話と4話が祢音の話だったので、ここでバッファに変身する道長が来る流れは予想通り。デザイアグランプリをかき乱し、英寿に対してやけに執念を燃やすキャラくらいの印象しかなかったが、今回の出だしで職場の友人と親しげにしていて一気に好感度が上がった。その後上司に飯まで誘われていて、あのタイプのキャラが普通に日常生活してるの、ちょっと意外でツボだった。

 

思えばとび職をしているライダーというのも珍しい。555最終回で脚本家に怒られながら土木工事をしていた怪人はいるが、意外と居なかった気がする。バッファローのライダーなのにとびというのも変な感じ。そこから英寿の別荘をリフォームしなくちゃならない展開、あまりに面白すぎる。デザイアグランプリが現代ニチアサ風にマイルドな味付けとはいえ、実質生き残り戦なので、こういう日常での気の抜けた面白さは大事。

 

道長がライダーになった理由が次回で完全に明かされそうだが、5話で示された情報を総合するのなら、あの職場の友人が以前デザグラに参加していて、敗退して死亡。それを見た道長が勝者の英寿を恨むようになったという感じなのだろうか。英寿のことこそ目の敵にしているが、実は『龍騎』でいう真司くんマインドの持ち主なのかもしれない。もしかすると「夢のために誰かを犠牲にするなんて間違ってるだろ。ましてそんなチャラチャラした願いのために!」とか言ってデザイアグランプリ抹消を望んでいる可能性すらある。

とはいえ今回の台詞からだと、やはりデザグラどうこうというよりも、ギーツへの敵意がメインなのだろうか。そうなると何だか、あんまり長生きはしない可能性すら出てくる…。少なくとも今回のデザイアグランプリでは、だが。

 

神経衰弱デュオというのが、同じスートのジャマトを同時に倒さなくてはならないというカラクリだったの、いかにも高橋脚本~という感じがしてよかった。『エグゼイド』のドレミファビート回を思い出す。全然リズムに乗れなかった飛彩が「心臓マッサージのリズムなら!」って攻略法を編み出すの、めちゃくちゃ最高だった。英寿と祢音があまりに露骨に「瞬間、心、重ねて」をやるので驚いたが、リズムに乗るナーゴがかわいかったので全てよし。後は最近、祢音ちゃんの天然っぽさと愛嬌の強さにどんどん惹かれている感じがある。

 

パンクジャックに関しては、初登場でここまで印象の弱いライダーというのもすごいなあと思った。シローはあっさりと死ぬことでデザグラの本質を見せつけてくれたが、変身者不明どころか喋りもせず、運営側の人間なので言う程正体も気にならないのがすごい。いやでもこれからどんどんあのマスクをリペイントして多種多様な熊系ライダーが出てくるのかと思うとワクワクする。

大穴で、パンクジャックの正体である「運営側の人間」というのが、実はデザイアグランプリで過去に敗退し死亡したはずの道長の友人という線もあるかもしれない。魂の抜け殻となっている~的な。道長の友人、結構イケメンだったので何らかの形で再登場はありそうなんだよな…。それで英寿がデザグラの謎に一歩近づくとか、道長が脱落して次回のデザグラで打倒英寿よりも友人の救済に目を向けるとか。

でも本当に正体不明のまま終わりそうな気もするので、まだまだ難しいところ。

 

メリーが道長にデュオ好感を持ちかけて、次回はバッファ・メリーデュオと、タイクーン・パンクジャックデュオになるよう。今回がデュオごとの脱落なら2人いっぺんに消えるのかもしれない。でも交換したら個人のポイントとして引き継がれるとも言ってたから、脱落は1人なのか…。ここまでメインメンバーが生き残っていることを考えると、やっぱりメリー脱落の線が強いが、ここでバッファ脱落というのも意外性の旨味がありそう。タイクーンはニンジャレイズバックルが発売ということで、少なくとも来週は生き残るはず。

バッファの好感度、今回で一気に上がったので、もっと活躍してほし~という気持ちがある。

 

 

暴太郎戦隊ドンブラザーズ ドン31話『かおバレわんわん』

やってくれたな!!!!というのが真っ先に出た感想。

いや、もちろん予想してはいたのだが、まさか本当にイヌの正体を明かさないとは…。

 

ジロウがいきなり「イヌって犬塚翼さんじゃないんですか!?」と言い出すの、もう本当にジロウという感じがして最高。この空気の読めなさ加減が本当にジロウ。今回のヒトツ鬼、最初は「痩せたい!」という欲望だけで出てきたのもマジで面白かった。最初こそ人の欲望の醜さと、そこから怪人になってしまう悲劇をきちんと描いていたし、それを軸にドラマを展開させていたけど、もうこの辺りはどんどん雑になっている。前回の「辛いもの食べたい!」もそうだが、「お前、痩せてるなあ」と向かってくる怪人の滑稽さが何とも言えなかった。ある意味こんな怪人は初めて。

 

井上脚本では、メインの変身者とは違う人が変身するというのはままある話で、ドンブラザーズにおいてもはるかじゃないオニシスターや猿原じゃないサルブラザーがいたわけだが、そうしたことをうまく(?)利用した巧みな脚本だった。TTFCのコメンタリーにもあったが、編集の素晴らしさもある。後は先週「みほと夏美が同じ顔!?」と犬塚が気付いたことで、こっちもまあ遂にイヌVSキジが来るのではないかと錯覚させられてしまった。色々な要因があり、色々な隠し方があり。井上脚本や白倉Pの目論見だけでなく、制作陣が一丸となって『ドンブラザーズ』を作り上げていってるなあという印象がしてよかった。

 

こういう仕掛けはリアルタイムの面白さにもつながってくる。スマホを開けばすぐにネタバレが出てきてしまう時代。かく言う私も今週は寝坊したので10時頃に後追いで視聴したのだが、起きてから一切スマホは開かなかった。もちろん、ネタバレを防ぐためである。実況中継などもされるし、一切ネットを見ない以外対抗策の全くないものなのだが、それを逆手にとってリアルタイムで作品を追うことの楽しさを再認識させてくれる、そんな趣がこのドンブラザーズにはある。

 

ところどころ山口監督の演出のやりすぎ感はあったものの、おかげでかなり内容の濃い1話になっていたと思う。

中でも輝いていたのは犬塚のヒーロー性。仲間が誰なのかも分からないし、まして自分以外が普段楽しく流しそうめんをしているなどとは露知らず、ただ目の前の人を救うために怪人を倒す。事情は全く分からないし、最後の記憶は自分の恋人に瓜二つな女性に接しようとしている姿。そんな男でも、怪人になっていると知ったら「助けてやる!」と無我夢中で変身して飛び込んでいく。これは序盤のはるかもそうだったが、目の前で助けを求めている人がいた時に、なりふり構わず助けにいけるかどうかが、ドンブラザーズにおけるヒーロー性なのだろう。

 

そこに辿り着けなかった先代のサルブラザーはヒーローではなかったし、逆に雉野のように一度ヒトツ鬼になってしまったとしてもヒーローとして活躍できる。もちろん井上脚本だからこれをヒーロー性として定義づけているかは微妙なところなのだが、誰にでもヒーローになれる機会がある作品だからこそ、あのメンバーならではの理由という井上イズムみたいなものはあるように感じる。そしてその線引きは、目の前の人を迷わず救えるかどうかなのではないだろうか。

 

色々な意味で面白い回だったが、実はこれまでぐんぐん進んできた縦軸を一旦ストップさせる回でもあった。次回はタロウエキスをたっぷり吸いこんだソノイが神輿に乗って帰還するようで、もう楽しみしかない。