スーパーヒーロータイム語り リバイス第47話・ドンブラ ドン23話

先週から始めたスーパーヒーロータイムの感想記事。前回はなんとなくここまでリバイスに思っていたことがメインになってしまったのだが、奇しくもギフというラスボスを倒すキリのいい展開と重なってしまった。

新番組の『仮面ライダーギーツ』の制作発表も行われる中で、新章へと突入するリバイス、そして新ロボ誕生回のリバイスと盛沢山な日曜日だった。

 

先週の記事はこちら。

 

curepretottoko.hatenablog.jp

 

 

 

仮面ライダーバイス第47話「狩崎の反乱、変身の代償」

あまりに直球過ぎるサブタイトル。先週ジャンヌがパワーアップを果たし、悪魔の存在を肯定する主張と共に、遂にギフを倒した五十嵐三兄弟。結局ギフの威厳なるものは1年通してほとんど感じることができなかったものの、諸悪の根源とも言える存在を撃破したことで、物語はめでたしめでたし…のはずだった。

第46話と第47話の間に劇場版の『バトルファミリア』が挿入されるらしい。軽くネタバレになってしまうが、触れない限りはどうしようもないので言ってしまう。

狩崎真澄がジョージに移植した悪魔・シックは、映画でパパさん、大二、さくらの3人によってあっさりと倒される。演者の力もあって残忍さが強調され非常に素晴らしいキャラクターであっただけに、こんな良い悪魔がいたなら本編で出してくれよと思った。しかし映画での「ジョージの中に居た悪魔を倒す」というイベントが、どうやら彼の心情に大きな影響を及ぼしてしまったらしい。でも、映画では結構ノリノリでいつもの「ヘイヘイヘーイ」だったので、今週急に髪形まで変えておかしくなってるのはよく分からない。多分この辺りは後付けしたか、映画を監督した坂本監督との齟齬があった気がする。でも脚本はどちらも木下さんなんだよな…。

 

とはいえ、リバイスにおいて連続性や伏線の話をすることは不毛である。設定は突如湧き出し、伏線は全く納得できない形で回収されるのだから、触れること自体が無意味。そう呑み込んでいかなければリバイスという作品を楽しむことはできないのだ。

ジョージ狩崎は死んだ父との確執か因縁か何かに葛藤し、それがシックの撃破というイベントにより爆発した結果、ライダーを殲滅することで真の平和を作ろうとし始めた。これがこれからのリバイスを観る上での前提条件である。安易に覆してはならない。ただ、ヒロミさんとのやり取りから、どうにも狩崎には他に目的があるらしい。大二達との応酬からも、何か別のことを抱えているのは明らか。

 

バイスが先週で「悪魔と共に生きていく」という路線を提示したことを考えると、狩崎の目的は「人間だけで悪魔に勝てることを証明する」もしくはそこから一歩進んで「自らが五十嵐三兄弟に敗れることで、悪魔との共存こそが正解であると示す」のどちらかではないだろうか。単にライダーを狩る悪役とも考えにくいので、私としては後者を押したい。要は『泣いた赤鬼』のやり口である。自らが悪役を演じることで、結果的に悪魔の必要性を説く。自分の悪魔を不都合なものだと切り離し、息子に押し付けたことへの真澄への挑戦状なのではないだろうか。

 

後は第47話冒頭で「ギフの脅威が消えたとはいえ悪魔に懐疑的」な番組が放送されていたので、人類全体に悪魔の必要性を説いていくというジョージなりの決意なのかもしれない。ならあんな狭いところで花を襲ったりするなよとも思うのだが、赤石の中継やウィークエンドの演説がめちゃくちゃヘタクソだったことを考えると、あながち間違いでもない気がしてくる。『リバイス』は脚本や物語の粗だけでなく、演出の幅の狭さみたいなところも結構問題だと思っているので…。

 

まあリバイスのことだし、こっちが全く予想してないレベルの答えが用意されている可能性は大いにあるが、さすがに残り4話だし作品の根幹に関わるテーマが置かれているはずだ。さすがに。

狩崎の決意がどのようなものであろうと、最後まで見届けたいと思う。

 

後は仮面ライダージュウガ。めちゃくちゃかっこよかったので驚いた。やはり黒と金は映える。演者の好みを反映したのか、クウガのアルティメットフォームそっくりなのも良い。というかジュウガという名前自体、クウガの上位互換みたいな側面がある。ベルトの声はベジータでお馴染みの堀川りょうさん。ベルト音声っぽくない、普通の言葉なのが、逆にラスボス感がある。一々スタンプカチャカチャしないと目的の必殺技出せないのは気になったが、強さも相俟ってめちゃくちゃかっこよかった。思えばリバイス、ライダーこそたくさん出たけど最初から風格を出せたキャラクターって本当に少なかったので…。アルティメットリバイ&バイスですら雑魚の一掃に使った作品だし…。

 

エンディングのスタンプラリーも右下のラスト1個。これでリバイ(バイスもかな)の最終回用フォームのスタンプって感じなのだろうか。ライブ、ジャンヌのパワーアップアイテムと合わせてメモリアル版でプレバン行きみたいな未来が見える。

 

そしてもう一つのリバイス究極の問題。戦う度に記憶を失う一輝、である。記憶を失うと写真からも消えることの整合性に関してはもう何も言うまい(絶対消えないで「何この写真?」とか言う方がいいだろ…)。ベイル登場辺りから出てきた設定だったのに、ほとんど活かされないまま、突如記憶が消えたことだけ語られる面白設定だったが、ここに来てようやく本筋に絡んできそう。みんなも知ってたわけだし「一輝に戦わせないようにしよう」ムーブはもっと早くからやってよかったと思うんだけどね。例えば消える記憶がめちゃくちゃデカイってデメリットをアルティメットスタンプに付けるとか。それでも家族を守ることを選ぶ一輝とかで、悲哀を強調出来ただろうに…。

 

そして今回は遂に両親のことさえも忘れてしまう一輝。前回風呂のことを忘れていたのに、実家の銭湯の営業時間は完璧に把握しているのは、新しく学んだってことなのかな。一番守りたい存在である家族のことすらも忘れていく。それはとても悲しいことのはずだし、きっとそれだけ聞いたらとてつもなく哀しい話を想像するのに、リバイスにおいては何も感じられないのが本当に怖い。「戦う度に記憶を失くす」なんて勝ち確定の設定でこんなに感情が昂らないことがあるのかよ。

ただこれまでの一輝達からは「失うことを受け入れる」強さを全く感じられなかった。失う覚悟を持つというよりかは、それよりもデカい大二の暴走やギフの出現という事態に対処するしかなく、流されていた印象。しかしギフを倒してようやく、記憶を失う恐ろしさに集中できると思うので、ここから3話でうまく挽回してくれることを願う。せめて悲哀の演出だけは…。

 

堀内監督がうまくやってくれていたとは思うのだが、それでもやはり「狩崎の狂気」が圧倒的に強く、「一輝の悲哀」に関しては全く感じることができなかった。三兄弟がベンチで話すところなんかも、突然カゲロウが出てきて「等価交換だろ。お前らはそういう契約だったってだけだ」って…。どの辺りが等価なのか分からないし、そもそもカゲロウとラブコフはどんな契約を交わしたんだ。変身して戦うことの代償として一輝は記憶を失い続けてるのに、大二とさくらは全く平気な意味が分からない。それに、一輝が戦う必然性があったバトルも言う程なかった。日本一のお節介だから首を突っ込んでいただけで、別に他のライダーでも対応できたように思う。いっぱいライダーいたし。何ならウィークエンドにも正式に所属していなかったから、マジで首を突っ込んでいただけだった。

 

後はまあバイスの「俺っちだけの変身なら記憶はそんなに失わないはず」という根拠があるようなないような、何となく理解できる発言の後で両親の記憶失うの、ちょっとヤバすぎるんですよ、落差が。一番ヤバい記憶持ってかれてるじゃんっていう。

 

ただ戦いが終わった後のエピローグっていう趣は好き(アギトのやつも大好きなので)だし、何だかよく分からなかったギフではなく、1話から暗躍したり活躍したりエクササイズしたりでどんどん人気を獲得していったジョージ狩崎がラスボスという流れには好感が持てるので、うまくここからの4話だけでも良い物語が展開されることを願いたい。一輝の記憶が元に戻るのかとかも気になるし、ジョージの目的がそこに繋がっているっていう可能性もまだ残されているので。まあ、しれっとなかったことにする可能性も全然あるのがリバイスの怖いところなんだが…。

 

 

 

 

暴太郎戦隊ドンブラザーズ ドン23話「イヌ、いぬになる」

ジロウがロボタロウになった「ドンロボゴクウ」と「ドンロボボルト」のお披露目回。それなのに、死んだ犬の怨念によりどんどん犬化していくイヌブラザーの物語が同時進行するという、狂気の回だった。

 

ドンブラザーズが諸々アイテムの初登場にあまり時間を割かないのは方々で言われていること。『ゼンカイジャー』の時なんかは「アイテムを強調せず、日常回でいきたい」と白倉Pが指令を出していたとのことなので、きっと今回もその流れがあるのだろう。後は井上脚本において新アイテムはそこまで優遇されないというジンクスもある。だが、だからと言って別のキャラで遊ぶのは一体何なんだ。本当に面白すぎる。

 

犬から触れよう。そもそもイヌブラザーは2頭身という異色の戦隊ヒーロー。逃亡者の犬塚翼が変身し、タイミングが悪くドンブラザーズの中で彼のみが未だ味方の正体を知らない。そもそも恋人を助けるための逃亡も終わったはずなのだが、そこにあまり疑問を持たず、何となく逃亡し、変身し、戦っている。もっと躍起になっていいはずなのに、公園でのんびり寝ているのが犬塚の面白いところだ。

そしてその2頭身という見た目の可愛さを逆手に取り、今週はとにかく制作陣が好き勝手していた。きっとCGを逐一合成するのも大変だったろうに…。イヌブラザーであるはずなのに、「犬」としてしか扱われず、何なら石を投げられ捕獲されそうになるのも全く意味が分からない。だが面白い。不思議コメディシリーズのノリである。深刻な部分は深刻にし、そうでない部分は徹底的にふざける。井上脚本はよく粗いとも指摘されるが、キメるところはしっかりとキメてくれる安心感の中で、様々に展開を転がす面白さがあると私は思っている。

 

そもそも犬の幽霊に憑りつかれるという出だしからして全く意味が分からない。ドンブラザーズは何故こうも幽霊の回が多いのだろうか。おそらく幽霊が居る以上の意味はないし、伏線でもなんでもないのだろうが、どうも気になってしまう。夏だからちょっとホラー味のあるエピソードをということなのかもしれない。

しかし本当にホラーなのは、雉野の嫁であり、犬塚の恋人に瓜二つなみほである。獣人の1人だとは思うのだが、人間界に溶け込んでいる辺りが恐ろしい。しかも犬塚のことは全く知らなそうな気配。犬塚の恋人の姿を借り(もしくは体を乗っ取り)、雉野みほとして人間界に潜入している獣人ということなのだろうか。だとしたら雉野と犬塚は…なんて恐ろしい妄想をしてしまう。あれほど奥さん大好きな雉野が彼女の正体を知った時、獣人でも守るになるのか、「僕を騙してたのか」になるのかも読めない。またヒトツ鬼になりそうな気配もある。彼女の正体一つでドンブラザーズの物語が大きく動くので、本当に恐ろしい。

 

続いてはトラドラゴンジン。何故か2つの人格を持つジロウが分裂し、それぞれドンロボゴクウとドントラボルトアバターチェンジ。その上で合体し、虎龍攻神(トラドラゴンジン)になる。トラドラゴンジンというネーミングだけでもう面白いからズルい。結局ジロウが二重人格である理由には全く触れず、この合体を成立させてしまう強引さも最高。「タロウを妬みすぎるジロウ」と「タロウを敬いすぎるジロウ」。敬う方のジロウは妬む方のジロウに驚きながらも、「でも、お前が必要だ!」と戦うためにその存在を受け入れる。まさかリバイスが1年かけてもまだあやふやな状態にある「負の側面を受け入れる」物語をこうもあっさりやってのけてしまうとは。そんな気は毛頭ないのだろうが、半ば当てつけにも聞こえるセリフだった。この一言だけでジロウに好感を持たせてくるあたり、やはり敏樹は強い。

 

思えばジロウはどちらの人格も面倒で、危険だった。ドラゴクウは周りを巻き込み翻弄するエネルギッシュさがうざったく、トラボルトは他のメンバーを殺そうとする危険人物。トラボルトの危険性ばかりが言われるが、ドラゴクウはドラゴクウで面倒という絶妙な塩梅。どちらも悪気はないだけに、正直ここまでは好きになれずにいた。しかし、突然実家に帰り、幼馴染達の言葉から元気をもらい、恋人の目の前でのみヒーローの正体を明かす無邪気さで、一気に好きになってしまった。どちらのジロウも決断が早くて行動力があるし、性格さえ好きになってしまえばかなり強い。

 

虎龍攻神のカンフースタイルも最高だった。先週に引き続き、渡辺監督のヒトツ鬼モチーフ戦隊推しが光る回だったと思う。今回は獣拳鬼ということで、ゲキレンジャーがモチーフ。喫茶店で周囲の音が気に障り、安心して勉強に集中できる静寂さを求める欲望から生まれるのは、修行をして心技体を高めていったゲキレンジャーの見事な逆モチーフ。ジロウのパワーアップ回でゲキレンジャーモチーフの敵を出し、ダイレンジャーアバターチェンジさせる流れも素晴らしい。こういう「別に知らなくてもどうでもいいけど、過去戦隊を知ってると楽しめる」は、脳みその別の部分を刺激してくれる。渡辺監督は特にそれがうまいので、今後も是非とも続けてほしいところ。多分敏樹と白倉Pはそこをあんまり重視していないので…。

 

ドンブラザーズの後に速攻で『仮面ライダーギーツ』の制作発表が始まり、そちらにも釘付けになってしまった。怪人を狩るゲームの参加者を仮面ライダーと呼ぶという新しい試み。様々なタイプのイケメン・美少女が繰り広げるバトルロイヤルといういかにも武部Pがやりそうな布陣。各ライダーそれぞれのモチーフが動物というのは、意外にないパターンだった。共通ベルトでの多人数ライダー。主人公が謎多き人物というのも面白そうだし、狐に対して緑のタヌキを2号としてぶつけてくる辺りもライダーの悪ふざけらしくて素晴らしい。設定がしっかりしていそうなので、放送開始が本当に待ち遠しい。

 

そう言えばリバイス前の0時にはスピンオフの「ジャンヌ&アギレラ」第1話も公開。こちらは観たのだけれど、玲花や亜樹子、ポッピーや凛子ちゃんに対する懐かしさ以上のものを感じることができていない。しあわせ湯で座っているだけで話が展開してしまう退屈さもある…のかもしれない。

ただ単純に私は内田脚本から何かを得たことがなく、どうしても特徴を掴めていないので、その点がノイズになっていると思う。ただ久々に見た鳴海亜樹子があまりにも当時のままだったので驚いてはいる。残りの話に期待したいところ。