スーパー戦隊シリーズ『秘密戦隊ゴレンジャー』感想 その11

 

第11回です。

9回と10回の間は何か月も空いたのに、10回と11回は1日しか空けていない。いややっぱり早く最終回まで観たいなあと改めて思ったので、比較的時間のある年末年始にどんどん進めています。ゴレンジャーを1話メモを取りつつ視聴して、その後に文章にしてるので1話に倍の時間が掛かるんですよね…。しかも片手間で観られないので始めるのに気力が必要。ならば年末年始を使ってしまおうという目論見です。残りも駆け抜けていきたい。

今回は51話~55話。幹部交代回もあったりと、結構目まぐるしく状況が変わる5話でした。有名な野球仮面も。でも自分はガンマン仮面が好きです。かっこいいので。

 

 

 

 

 

第51話「青いニセ札づくり! 夕陽のガンマン

青いニセ札づくり!夕陽のガンマン

 

曽田脚本3連チャンの最終回。今回はガンマン仮面が登場します。銃がそのまま顔になっているという驚異的なインパクトを放つガンマン仮面は、外見だけでなく中身もウエスタンテイストでこれは子どもの心を掴むだろうなあと。いきなり試し撃ちから始まり、馬に乗って移動するガンマン仮面。今のヒーローはバイクや車にすら乗らないというのに、ゲスト怪人があっさりと馬に乗ってしまうの、何だか新鮮でいいですね。この回のコメンタリーとかあったら終始馬のことだけ話してそう。というか、そういうコメンタリーめっちゃ欲しいですね…。TTFC、現行の作品だけじゃなくて過去の作品のオーコメもやってくれないかな。ガンマン仮面が狙うのはイーグル部隊。「ここは西部じゃないぞ!」というモブのセリフが良かった。というか、ここで流れてるBGM初めて聴くかも。いや普段からあんまりBGMに注意を払ってないので勘違いかもしれませんが。

 

ガンマン仮面、西部劇モチーフということでかなり古風でコミカルな見た目なのに、作戦自体はとにかく現金を奪うというシンプルなものなので、そのギャップも良かった。「風の如く襲い、風と共に去っていく」などの面白語録もどんどん飛び出すし、ゲストにしておくのが勿体ないくらいキャラが強い。曽田さん、西部劇が好きなんでしょうか。ガンマン仮面の動きを知ったゴレンジャー。ペギーの「偽札を作れば解決なのに」ってセリフ、この後の展開に繋がる示唆的なセリフとはいえ、ヒーローがさらっとそういうこと言えちゃうのが怖い。一方のガンマン仮面は指名手配までされていました。この世界の人々は仮面怪人をそんなに簡単に受け入れちゃうのかよ。顔が売れてるから正面から入りづらいなあとか、そういう理屈じゃなくてまず見た目でしょうに。そこから無事にまた金庫を強奪。ゾルダー達が綱で金庫を運んでるの、前回に引き続き苦労人感が出ていていい…。

 

「俺の拳銃は素早いぜ!」とゴレンジャーの面々と交戦するガンマン仮面。敵に囲まれてもシンプルに拳銃を使って応戦するこだわり具合が良いですね。しかも逃走は馬。銃というよりも西部劇全体がモチーフなんでどうしても細かい描写に気合が入ってしまう様子。ガンマン仮面を追跡したペギーと新命は、そこでガンマン仮面がミスターXなる人物と取引していることを知る。窒素爆弾を買い取るために、500億円を作ろうとしていたらしい。500億って結構な金額だ…。とはいえ、黒十字軍とは別の悪い組織が出てくるのはなかなか新鮮でした。こういう世界観の広がり、話に深みも出るのでもっとやってほしいなあという思い。今回限りなのが非常に勿体ない。ペギー達の存在に気付き、その場を去るガンマン仮面。総統に対してそろばんで現状の金額を説明するのがかわいい。口頭で言えばいいだろうに。黒十字の金庫(そんなんあるんだ?)に301億。ガンマン仮面がかき集めたのが99億。強盗ばっかりとはいえ、単体で99億持ってこれたのすごいな…。マグマンが「世の中不景気のようで…」とか言うのも面白かったです。というか、総統まで出張ってくるようなデカい作戦なんですね、今回。

 

それに対してゴレンジャーは偽札を作る作戦を決行。作る必要あるかどうかは分からないけれども。ヒーローが平気で偽札作る面白さが勝ってるので別にいいです。バリタンクにコピー機を入れて、人力で印刷したものをあたかも機械がやったかのように見せかける。造幣局を褒めちぎるマグマンとガンマンがかなり滑稽に見える。その後、ペギーが変装して取引に潜入。ミスターX達も偽札に気付かず窒素爆弾を渡してしまう。結構ちっちゃいな窒素爆弾…。今にも捕虜のイーグル隊員が殺されようという時、ガンマン仮面は変装したペギーにも矛先を向ける。香水で分かったんだ…。ペギー香水付けるなよ…。しかし、偽札が突如「ニセサツ」と書かれゴレンジャーの顔アイコンが描写されたものに変わり、みんな大パニック。その隙に逃げ出し、ラストバトルへ。ラストバトルでもちゃんと拳銃使うの、本当に愛おしくてしょうがないですね…。顔面の銃まで発動するものの、ウルトラブルーチェリーで蓋をされ動けず。ゴレンジャーハリケーン「黄金銃」を口に喰らい爆散。キャラが立っていて結構好きでした、ガンマン仮面。

 

 

第52話「ピンクの電話鬼! 殺しのダイヤル」

ピンクの電話鬼!殺しのダイヤル

 

ニューゴレンジャーマシンを設計中の若山教授が殺害されてしまうという衝撃的な冒頭からスタート。ニューゴレンジャーマシン…!さらっとそんな訴求力抜群のマシンを開発してることを明かすなんて。今回の怪人、電話仮面の目的は拉致ではなくて殺害。いつもなら「マシンを黒十字軍にも作ってもらおう」というノリで拉致に目がいくのに、電話仮面はバンバン殺していきます。この思い切りの良さと、暗殺特化の能力が魅力。電話を掛け、相手が出ると相手側の受話器からいきなり炎が。しかも「死亡時刻が参りました」っていうホラー的なフレーズも素敵。そんなこんなで若山教授はあっさりと殺され、調べるとなんと受話器に火炎放射器が取り付けられていたらしい。てっきり電話を掛けて出た相手の受話器を通して攻撃できる能力かと思ったので、ただ単純に相手の隙を突いて電話に何か仕掛けてるだけならちょっとダサい。それなら爆弾とかでいいんで…。

 

続いて清水博士も毒ガスで殺されてしまう。ちゃんと警備してたのに、裏声くらいで騙されやがって、明日香…。ゴレンジャー達は、敵の情報源はスパイなのではないかと疑うが、結論としてこちらがジュネーブに送っているファクシミリの情報を読まれてしまっているのではないかと疑う。戦争は通信網を掌握したほうが勝つなんてよく言いますけど、そういう意味ではこの電話仮面のスキルってかなりすごいものなのかもしれない。ゴレンジャーは新型ロケットの偽情報を流して相手を誘き出すことに。これ、第51話でも同じことしてたな…。するとやっぱり黒十字軍が襲ってきて、電話仮面の情報源が確実なものとなっていきます。

 

それなら電話仮面のアジトを叩き潰そうと、血眼になってアジトを探すゴレンジャー達。バリドリーンで空から探せるって言っても、あいつら結構地下にアジト作るからな…。一方の電話仮面、トイレに行きたいという部下に対して「人間は…」みたいな発言を。仮面怪人ってトイレ行かないんですね。というかそういうことにちゃんと言及する特撮ヒーローものすごいな。むしろヒーローを茶化したコメディやコントで言いそうなセリフ。しかしその科学者は黒十字軍に潜入していたイーグルのスパイであり、ゴレンジャー基地にこっそりと暗号を送っていた。しかし正体がバレ、電話仮面に狙われることに。夜闇の中、影だけで逃走を見せる演出がおしゃれでかっこよかったです。基地に電話を掛けようとするも、その電話は電話仮面だった…!じゃないんだよ。どう見ても電話デカいだろ。その後に普通に若い男が女性に「今日はありがとう!」みたいな電話掛けるの、無理矢理入れたコミカルさって感じで好きでした。あんだけ人殺しておいて何でそこは見過ごしたんだよ。

 

その後もイーグルの高官が次々に殺されてしまう。電話に出たら負けだなんてそりゃあ無理ですよね。でも殺す前に電話仮面がその電話に何か仕掛けてるんだよな…。映像にはないけど一手間あるから、ちょっと回りくどい作戦な気もしてしまう。というかどうせ電話が凶器になる展開なら、情報の周知が上手くされないことであたふたするゴレンジャーサイドが見たかったかも。暗号も解けず電話仮面のアジトも分からずただ被害が増えていくのみ。そんな状況が太郎君の一言によって一気に解決します。誰にも解けなかった暗号が太郎君の一言で解かれてしまう展開、ベタだけどいい!!電話仮面の次の狙いは江戸川総司令。これ太郎君との会話がもうちょっと遅かったら総司令がやられていたのでは。

 

そんなこんなで電話仮面のアジトに向かい、いざ勝負。とはいえ電話仮面は暗殺向きの怪人なので、まあアジトがバレちゃったらね…。特別な技の披露もなく、ゾルダー達に命令するだけでした。あまりに何もないせいでキレンジャーに天気予報に電話を掛けられてしまう始末。戦闘中に天気予報に繋げられちゃう怪人すごいな…。ゴレンジャーハリケーンは設計図。今回の倒し方も狂ってて最高でした。目の前の設計図に感心した電話仮面が本部に電話を掛けようとしたら「それはゴレンジャーハリケーンの設計図だ!」とアカに言われそのまま爆発。戦闘中のテンションじゃないだろ。何かもうゴレンジャーハリケーンって当たる直前で一種の催眠術みたいなの使ってる気がしますね。

 

 

第53話「赤いホームラン王! 必殺の背番号1」

赤いホームラン王!必殺の背番号1

 

いよいよ来ました、野球仮面。ゴレンジャーどころかスーパー戦隊で一番有名な怪人と言っても過言ではないかもしれないほどの知名度を誇る怪人。確か王貞治の話題にかこつけたんでしたっけ…。いや王貞治じゃないかも…。とはいえ、野球に全く詳しくない自分でも全然楽しめるのがすごい。ただ、2つ前の回のガンマン仮面なんかもかなりコミカルだったので、その延長線上にある怪人なんだなあとは思いました。こういう社会現象になっている出来事や子供たちのヒーローをさらっと出せるのは他のヒーローにはない強みですよね。『仮面ライダー』にもここまで露骨なゲスト怪人はいないし、『ウルトラマン』でもちょっと軸がブレてしまうような。その点『秘密戦隊ゴレンジャー』はあらゆるパロディを可能とする土台の上で成り立っているんですよ。基本がコミカルだから振れ幅が広い。その土壌を育ててきたこともそうだし、すぐにトレンドを活用できる懐の深さが人気の理由だったんじゃないかなあ、と。後は時代背景もありますよね。今は娯楽の形が多様化していることで、万人受けを狙うのが非常に難しい時代。ただ70年代でまだテレビが強かった時代だからこそ、こういうやり方ができるんだろうなあという気がしました。いや、でも大谷翔平モチーフの怪人とかは全然出せそう…。

 

冒頭、死刑囚の死神博士を護送するシーンからスタート。ゴレンジャー、囚人の護送までやるんですね…。死神博士はボール爆弾なる大量殺戮兵器を作った罪で収監されるらしい。にしても顔が白すぎる。にしても死神博士って名前はいいのだろうか。イカデビルが出てきちゃうけど…。そんな死神博士が収監されたのは世界一警備が堅いイーグル刑務所。イーグル、軍事組織なのかと思ってたけど刑務所まで持ってるんだ…。でもイーグルの守りってかなり脆弱だしそこは民間に任せたほうがいいような気がする。野球仮面も警備が堅い~とか言ってたけど、怪人レベルならもう警備とか関係ないだろ。というか野球仮面、永井一郎さんということもあって声がもうコミカルすぎる。

 

収監後も帽子とスカーフが何故か特別に許可されている死神博士。それ取っちゃっても多分色の白さで死神博士だと分かるから安心してほしい。ここで出てきたゾルダー、キャッチャーのミット付けてるんですよね。こういうちょっとした戦闘員の着せ替え、結構楽しいのでどんどんやってほしい。戦闘員が上司の怪人色に染められているの大好きなので。一方のゴレンジャーは刑務官も務めているらしい。人手不足っぽいもんなイーグル。すぐやられちゃうし…。とか思ってたら野球仮面が投げ返したボールに入っていた薬を飲んで、死神博士が死亡。呆気ない最期を迎えることに。そこに現れる野球仮面!「黒十字軍のホームラン王」って肩書がすごい。悪の組織にホームラン王絶対いらないだろ。でも爆発するボールを正確なバッティングで当ててくるのは結構強い。遠距離もいけるし近距離ならバットでボコボコにしてくる。前回の暗殺特化の電話仮面とは違って、かなり戦闘タイプ。あんなにコミカルなのに。しかもゴレンジャーハリケーンまで打ち返してしまう始末。これはまあストレートを選んだアカも悪いと思うんだけれど、それでも必殺技が効かない怪人っていうのはやっぱり格が違う。そんなことをしている間に、死神博士すら奪い返されてしまう。今は仮死状態で、生き返るらしい。

 

ゴレンジャーは死神博士の記憶頭脳の脳波を解析。何気にすごい技術だ。それによると死神博士はボール爆弾なる兵器を作っているらしく、ボールが爆発すると中の小さい爆弾が散り散りになり、辺り一面を爆発させられるという恐ろしい兵器。いやでもこれ死神博士じゃなくても全然開発できる気がする。生き返った死神博士は早速ゾルダー達で実験を行う。部下達を殺されて憤る野球仮面。きっと休み時間に野球とかしてたんだろうな…。部下思いの怪人ほど良い奴はいない。この回、野球仮面ばかりが取沙汰されるけれども、死神博士のビジュアルもすごいし、死神博士と野球仮面の相容れない(でも協力している)関係性もかなりハッキリしてるんですよね。ゴレンジャーが完全に隅に置かれている。野球仮面を引き立てることに全力を注いでることがよく分かる回。

 

野球仮面はガスタンクをボール爆弾の入れ物にし、大爆発を引き起こそうと画策。一方のペギーは野球仮面に対抗できるゴレンジャーハリケーンの開発中、太郎君の何気ない言葉からヒントを得る。太郎君はいつから野球少年になったんだろうか。そしてペギーはコントローラーで動かし魔球を作れるゴレンジャーハリケーンを開発。いやそれ閃く必要あるか?というくらい簡素な発想。でもこれくらいシンプルな方が相手には効くし、子ども達にもウケるのかもしれない。ラストバトルはいきなり死神博士が仕切り出す。バットを使って戦うアカレンジャーが新鮮で良かったです。戦いの最中、出世欲が仇となり野球仮面の邪魔をしてしまう死神博士。怒った野球仮面に反撃され、ゾルダーに撃たれてやられてしまう。何だこのドラマは…。そして突然始まる野球対決。さらっとキャッチャーを務めるキレンジャーが最高。最後は動くボールに翻弄され、目が回った所にボールが当たって爆散。ゴレンジャーサイドのドラマがめっちゃ薄味になってる辺り、制作陣も個性的怪人路線に完全に舵を切ったなあという印象でした。

 

 

第54話「真赤な挑戦! 火の山最期の大噴火」

真赤な挑戦!火の山最期の大噴火

 

1クール続いた火の山仮面マグマン将軍編も遂にラスト。テムジンの期間が長かったのでちょっと短い気もしますが、ナバローン要塞という圧倒的な火力を誇る兵器を度々登場させていた分、印象はかなり強い。ただやっぱりゴレンジャーとの因縁みたいなものはちょっと薄味だったかなあとも思います。そういう意味でも日輪仮面がアカレンジャーと決闘するのはすごく良かった。

 

周囲のものをことごとくナバローン要塞でぶっ壊そうというシンプルなローラー作戦。半ば自暴自棄とも思えるこの作戦ですが、単純に火力で攻めてくるのは結構強い。その上ナバローンはバリアも張られているのでこちらの攻撃が効きづらい(地下から攻めると倒せる)。黒十字軍にはコンドラー部隊もあるため、バリドリーンさえも牽制されてしまう。ナバローンの恐ろしさに改めて気付かされる回。その上火炎放射まで使ってくるの、火の山仮面っぽくていいですね。ゴレンジャーの怪人は結構トリッキーな奴が多いので、こういうシンプルに火力でガンガン攻めてこられると箔が付くような気もする。バリタンクでの地下からの攻撃で案外あっさりやられてしまうかと思ったものの、資料室(まさかの禁煙)を切り離して戦線離脱。ゴレンジャーが手に入れた設計図によると、各部屋が即座に分離できるように作られているらしい。潜入されてもそこだけ切り離せば逃げられるの、結構賢い仕様だ。

 

とはいえ総統は1度のミスさえ許さないので、マグマンはあっさりと見限られてしまう。禍々しい祈祷所に篭り、大量のゾルダー達がツタンカーメンの墓のようなものに「目覚めよ黒い魂」とひたすらに唱え続ける。日輪はちょっと呪術感ありましたが、テムジンとマグマンはどちらかというと軍人要素が強かったので、スピリチュアル系の映像が結構新鮮。ゴールデン仮面大将軍を復活させようとしていると気付いたマグマンは一刻も早く手柄を立てなければと奮起する。昭和特撮あるあるだけど、幹部の退場回って同時に新幹部が出てくるんだよな…。その焦りさえなければ勝てたかも?と思うこともあるのでちょっと勿体ない気も。一方のゴレンジャー側は設計図の解読に悪戦苦闘。しかし007がこぼしたコーヒーによって設計図に文字が浮かび上がる。3ヶ所を同時に爆破すればナバローンを破壊できることに気付いたゴレンジャーは、ゴレンジャーマシンを犠牲にし、命を懸けるほどの作戦を決行。

 

ゴレンジャーマシンの引退回でもあるらしく、駐車場(正確にはナバローンの中だけど)での戦闘シーンはかなり見応えがあるものに。ゴレンジャーマシンっていっつも警備と移動くらいにしか使われないので、ゾルダー達を追いかけるようなシーンは結構新鮮味がある。バリブルーンの時のような悲しみこそないけれど、最後の販促を果たしたように見えてグッときてしまった。もっと印象的に使われてほしかったなあ。そしていよいよマグマンとのラストバトル。とはいえ特徴はなく、いつもの怪人と同じ…かと思いきや、ウルトラブルーチェリーを武器であっさりと回避。モモ爆弾はもう通常怪人にさえ通用しないので全然いいけど、ウルトラブルーチェリーはあんまりかわされないのでさすが幹部~となりました。ただ、肝心のマグマン側の攻撃が地味すぎる。頭から火の玉を出すだけって…。そりゃあアカも卵のゴレンジャーハリケーンで倒せると思っちゃうよ。後世の今でもネタにされ続けてるゆで卵死に。もはやゴレンジャー名物でもあるけれど、1クール頑張った幹部怪人に対してこの仕打ちは結構酷い気も。さすがにここはカッコよく倒してほしかったぜ…。テムジンの時はバリブルーンを破壊するという重要なファクターがあったのに、マグマンはどうしてゆで卵に…。断末魔も「これは悔しい~」ってそりゃそうだろ…。そして遂に最終幹部であるゴールデン仮面大将軍が登場。ゴレンジャーの初陣の相手が黄金仮面であったことを考えると、一周して因縁があるようにも見えてワクワク。5種類の色を基調としたヒーローが戦う幹部がゴールデン仮面なの、すごくコントラストが効いてるんだけど、そういう意図は昭和特撮において蔑ろにされがちなのが残念。それにしても海外で実績を上げてきた日輪・テムジン・マグマンとは違って寝てた奴に幹部を務めさせる辺り、総統にとってもゴールデン仮面はかなり切り札なんだろうなあという印象。ラストカット、いつもならゴレンジャーマシンに乗っているのに、バリタンクだけなのはちょっと寂しいですね…。

 

 

第55話「金色の大将軍! ツタンカーメンの呪い」

金色の大将軍!ツタンカーメンの呪い

 

新幹部登場とゴレンジャー新メンバー登場と新マシン登場を一気にやる情報量過多の回。いろんなことが矢継ぎ早に!という興奮よりも、そこをもうちょっと掘り下げてくれや~という思いのほうが勝ってしまった。新幹部の圧倒的な強さとか新ヒーローが周りに馴染んでいく過程とか、もっと楽しみたいじゃないですか!!いやまあ色々と事情がある中での仕切り直しだろうから無理もないのだけれど、どうしても情報量と熱量の間に差を感じてしまう回でした。けれど本当に仕切り直しなのか、話自体はかなり王道のスパイ路線をやってるんですよね。

 

ハイキング中の人々の上空を謎の飛行船が通過すると、彼等は一瞬で白骨死体に。これは黒十字軍がばら撒いている死の細菌ガスZによるものらしい。民間人に被害が出るのかなり久々な気が。いつもイーグル隊員ばかりがやられているので…。今回の作戦を担うのは大耳仮面。その名の通りデカい耳というかなり奇抜なデザイン。どう考えてもゴールデン仮面大将軍より目立ってしまっている。仕切り直しみたいな回なんだからもっと落ち着いた奴でもよかっただろうに…。ここ数話のコミカル怪人と比べると性格はかなり真っ当(女性というのは特徴的だけど)なのに、デカい耳というだけで圧倒的なインパクトを誇ってしまっている。そしてこのZをどこから持ってきたかというと、ツタンカーメンの墓を暴いた科学者が持ち帰ったものらしい。ゴールデン仮面のツタンカーメン要素をちゃんと拾ってくるわけですね。多分徐々に薄れていくだろうけど…。そう思うと部下のほとんどが鉄属性だったテムジンは偉い。大将軍の目的はツタンカーメン号という冒頭に出てきた飛行船に細菌ガスを積んで世界中の人間を白骨死体にすること。いやそれじゃ征服も何もあったもんじゃないが…。

 

そんな作戦を知ったゴレンジャー。「許せん!」といきなり部屋に入って来る熊野大五郎が凄い。OPの映像は大ちゃんのままでクレジットだけ熊野大五郎になっている違和感。というかマジで誰なんだよコイツ…みたいな顔をメンバーにされてるのいいっすね。追加戦士っぽい強引な加入。江戸川総司令の命令は絶対なので、大ちゃんは何の断りもなく九州支部の教官になってしまい、ゴレンジャーの面々はそれをあっさり受け入れる。でも大ちゃんという強力な個性がいなくなってしまうの、制作陣はかなり痛手だっただろうなあ。怪人の活躍がメインの回でも、大ちゃんのコミカルさだけはやっぱり輝いていたので。そんなわけで新メンバーが加入したのだけれど、今回は結構未熟者として描かれるシーンが多かった。

 

一方、ゴールデン仮面のアジトにはイーグルのスパイである0010が潜入していた。0010って前にもいた気がするんだよな…。生きてたんでしたっけ。しかし罠にかかってあっさりと殺されてしまう。この辺りかなりインディ・ジョーンズ味があるんですけど、インディの公開はゴレンジャーより全然後なんですよね。こういう描写、インディ以前にもあったんだ。結構古典的なトラップ。そこから0010救出(?)も兼ねてゴレンジャーが急行。しかし大五郎が転換できない…!お前、急ごしらえの未熟者だったのかよ!しかも「ダメだぁ~」ってすぐ弱音を吐くのか…。でも確かに明日香も成長しきっちゃってるし、ここで後輩キャラを出してくるのは正解だったのかもしれない。にしても精神統一が鍵なんですね、ゴレンジャーって。

 

転換後は良い所を見せようと奮闘する大五郎。しかし大耳仮面の触手にあっさりと捕まってしまう。ミドメランに助けられたものの、大耳仮面は化粧直しだと言ってコンドラー部隊を召喚。コンドラー、何機倒しても次の時には4機のフル装備で来るので結構頻繁に製造されてるのかもしれない。飛行船も改めて出してくる辺り、アトランティス号が相当気に入ってたんだろうなあ黒十字軍は。バタバタしていて大耳仮面には逃げられてしまったものの、ゴレンジャーはツタンカーメン号ごと細菌兵器を宇宙へ運び出す作戦を実行する。そ、そんなことができるんだ…。しかも飛行船に発信装置つけるだけで。

 

硫酸の池はさすがにエグいけど、正統派のスパイ路線が帰ってきたかのようで嬉しさもあり。にしても大五郎の発言、他のメンバーにすぐ否定されるの結構キツイな。というか明日香の発言で気付いたんですけど、ゴールデン仮面がちょっと象っぽいのってツタンカーメンの像ってことなのかな。最近まで寝てたような奴に簡単に従える大耳仮面、結構懐が深いのかもしれない。一体どういう感じで宇宙まで飛行船を運ぶのかと思いきや、バリドリーンの爪の部分が切り離されてそのまま宇宙へ。え?そんなことできるの?と驚く。宇宙まで絡んだ大規模な作戦なのに、本当に一瞬で終わってしまった。しかしそれで終わるわけにはいかず、今度は毒ガスを東京にばら撒く作戦に。だいぶスケールが小さくなってしまった。そこで登場するスターマシン!前回ゴレンジャーマシンが華々しく散っていっただけに、新マシンの活躍が弱いのが何とも言えないけれど、新しい乗り物は素直にワクワクしてしまう。必要に駆られたとかじゃなく、前のが壊れたからっていうシンプルな理由がいいですよね。バリブルーンがやられた時には5人で敬礼までしてたのに…。

 

そしてラストバトルへ突入。大耳仮面、渦巻き光線がシンプルに強そうだったのに、横からのアカの飛び蹴りでやられてしまう。敵を縛る触手も1本しかなさそうだったし、多人数戦に慣れていないのかもしれない。多分1対1だったら結構強いですよこいつ。ゴレンジャーハリケーンは耳栓。モチーフほぼ関係なく卵でやられた怪人がいるけど、さすがに大耳のインパクトには耳栓しかなかったか。アカは一体これをどういう基準で選んでるのか。他のメンバーも「え?卵?まあいいか…」くらいの気持ちでやってるんじゃないでしょうか。最後、残っていた細菌ガスをイーグルに運んでいたので次回に何か続くのかもしれない。

 

 

 

 

というわけで第55話までの感想でした。

マグマンの退場とゴールデン仮面の登場。かなり盛り沢山だったけどその分駆け足になってしまっているようにも。ただ怪人はもう本当にどんどんコミカルになってきていて楽しいです。後は大五郎とか新要素とか、そういう1回で終わらない部分にも目を向けてくれたらなあと。もちろん大人の事情もあるだろうし急ごしらえなのは分かっているのだけれど、目が肥えてしまっている分贅沢を言っちゃいますね。残りは30話ほどですが、もう幹部交代は確かなかったはずなので、純粋に単発回を楽しんでいこうと思います。